総務にゾンビがやってきた!


近未来、ゾンビウイルスが猛威を振るった後の日本。
人口の0.8%は死んでいながらも生活する「ゾンビ者」となっている。
政府は「ゾンビ者雇用促進法」を制定し、ゾンビ者たちは社会に飛び込んでいく――

テキレボWEBカタログより転載)

sanka

本の感想を書くのに、私が現在会社でどういう立場にいるかを前振り説明。完全に局。店舗では社員番号最古参だが最高年齢ではないし店長でもない。ギリギリ平社員側。新規パート・アルバイト・新入社員の教育がいつも回ってくる(店長の陰謀)。身体障害者手帳を持ってる人とは働いたことナシ(本部にはいるけど店舗にはいないので全然関わる機会がない)。精神障害者保健福祉手帳(鬱とかの)持ってるかもしれないけどわからない人とはある。
それでね、全然違うってわかってるけど、あるバイトちゃんを彷彿してしまって。フランちゃんがダブったんです。
さて、そんな立ち位置なので、ゼンメイくんフランちゃん双方を働く者としてみてました。

まずは、障害者うんぬんより、「ゾンビ」である視点で。
あとがきをまるっと無視して感想を述べるなら、気が利く、利かないってのはゾンビ者の習性なのか元来の性格かって、つまり仕事は気が利いて欲しいけど、飲み会はやりたい人がやればいいと思う。そんなところに「気が回る」ことなど求めない。職場で発揮してくれ。まあ、新人がお酌して回るのって、ひいては仕事で覚えてもらう布石であって、年配者へのサービスでなくていいと思うの。自分の為でいいんだあんなもの。世話好きな人は新人お局関係なくどんどんすればいいんだし。仕事をがんばってこなす子はみな好きです。

と、ここで作者の氷砂糖さんから「フランちゃんが気が利かないのは「社会から切り離されていたから人とのコミュニケーション馴れしてなくて」みたいなのを織り込んだつもりだったけど読み返したら単に気が利かない私だった。」といただきました。
と、なると、ゾンビ者の後天的習性ってことに。ゾンビ化する前には友達もいて彼氏もいたなら、真のコミュニケーション失調ではなさそうだし。職場の上下関係や会社というルールに疎いという状況。しかも蘇り時に身内や友人から傷付く対応をされてるので、対人に怯えがある。そこから8年近く籠もりきりなら、コミュニケートに逡巡するのも納得です。
そして手首腐り事件。
これね、フランちゃんの失敗として書かれてますけど、本当は違う。フランちゃんに関しては、次の日の上長(ゼンメイくん)との会話のあと自己申告できるようになったなら充分問題ないです。返事はいいけど申告できないまま、だったら辛いけど。それは駄目です。
問題はゼンメイくんです。上長には、たとえ平社員の先輩レベルでも、下の人間が報告しやすい場と空気を作る必要があるんです。ことさら優しくしろということでは無く。わからないのは普通のこと、勝手な判断は非常に危険なこと、いきなり怒らないと約束すること。
何度でも伝えて、そして手元の仕事が忙しくても、5~10分にはふらっと後ろを通って状況を確認すること。「見てるよ」とアピールすること(監視してるよではない)。

ところで、件のバイトちゃんにね、これですごい懐かれてしまって。正直会社で友達作る気のない私はそんなプライベートをねっとり押しつけられても困るってくらい赤裸々な相談も受けてしまい、心の弱った人って大変だなあと思いました。最初は私のこと怖がってたのにね!誰にでも態度が冷たいってわかったら大丈夫になりましたって言われたよ!
その子はもう当社にはいないのですが、辞める前の経緯がとてもいい流れだったので、今も幸せだといいなあと、思い出したのです。

というわけで、障害者雇用問題というより、コミュニケーション能力に偏りがある人(距離の取り方の下手な人)との物語、そしてむしろ上司の問題として捉えて読みました。私もゼンメイくんも雇用者ではないので、利益の部分はまるっと無視ですが、面白いというよりよく考えるチャンスをもらった(思い出した)本です。読むといいよ、ホント!


発行:cage
判型:文庫判(A6) ページ数確認中
頒布価格:300円
サイト:Luminescence of Rock Candy
レビュワー:まるた 曜子


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