グランジナースの死

arasuji

kansou
まず手に取って思うこと。
これまでこの本を手にしてきた誰もが同じ感想を持ったと思うのですが、
装丁がとてもいい。めちゃくちゃいい。
新潮社や角川文庫といった大手出版社の書籍をモチーフにした作りになっていますが、

単なる真似ではなく、細かいところまで手が行き届いている。
自作出版する際のお手本のようです。

中身もきれいに体裁が整えられています。

内容。
第一印象としては「ほどよく読みにくい」。
いい文学作品というのは、総じて”読みにくい”ものです。
内容の濃さゆえに。あるいは、表現の新しさゆえに。
当然読みやすい文章も商品として評価を受けて然るべきですが、
カップラーメンが世界一売れてるからといって、世界一おいしいかと訊かれたら辛い。

この本は2作品から成っています
ひとつは「グランジナースの死」。
ひとつは「しもて側の人」。
ここで紹介するのは前者。

「グランジナースの死」。
書き出しからフルスロットル。
表題となっているグランジナースの説明をのっけから叩きこむ暴力性。
読み手のテンションはここでマックスになったらいいし、
キャブがかぶってるなら不感症か、この世界に向いてない。

浮腫、眼科、壊疽、胃カメラ、と、医療用語を章題に置きながら
それに相応しい精密な専門性の高い描写で以て
明度の低いまま彩度だけをぎらぎらに上げた世界を点描の要領で構成している。
「怖い」と「気持ちいい」の中間。
その不安定さゆえのリアル。

新生児、という話が一番好き。
死ぬことから一番遠いようで、一番近くにいる存在。
涙を流すときは、みんなそうなのかもしれない。

グランジナースの最期については、ここでは語る術を持たない。

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発行:酔っ払いバタフライ(仮)
判型:文庫(A6) -P
頒布価格:400円
サイト:-
レビュワー:にゃんしー