沈黙のために

arasuji
おばあちゃんと孫が手に手をとって逃げ出す表題作ほか、少年とアンドロイドの話、馬を撲殺する話などの物語を収録した短編集。SFっぽい。

(第二回文学フリマ大阪/作品紹介より)

kansou
シンプルな装丁がかなりかっこいい。
中身の文字の並びも端正で、
のっけから文章の美しさを想起させました。

収録されているのは
「フォスフォレッセンス」「E」「沈黙のために」
「冬の群、馬数ある中の」「些少で微細な宇宙の歴史」「夜明けの手紙」
の6つ。
どれも20ページ程度。

「フォスフォレッセンス」「E」は、わりと読みやすいかな。
純文学系と思うのですが、シンプルかつ綺麗な言葉の並びになっていて
内容と言葉と、それぞれの妙を味わいながら
楽しく読み進めることができる。

ドーン!と来てしまったのが、3個めの「沈黙のために」。
これねー、すごいよ。
いうたら難解めの作品なのですが、すごい楽しい。
タイトルの「沈黙のために」というのはなんなのだ、
読者がのめり込んで「沈黙」してしまうということなのか。
幻想的な世界観を描くに足りて余りある、
ある意味で乱暴な筆致が胸のもっとも弱いところを正確に突いて
きゅうと虜になってしまう。
酔わされました。

残りの3つの作品もおもしろい。
タイプの違う作品がそれぞれ収録されているので、
アンソロジーみたいな楽しみ方ができる。
買い、の1冊。

data
発行:夜更社
判型:新書版
頒布価格:600円
サイト:クランチマガジン(著者紹介/正井さん)
レビュワー:にゃんしー