その水に口をつけたW氏の顛末

arasuji
「だからあたしは水になるの。
水になって、H2Oになって、その小さな小さな分子の、その一部になるの。
あたしの存在は極限にまで希釈され、すべてのものにいきわたるの。
あたしは誰のものでもあって、誰のものでもなくなるの」

冴えない中年用務員・W氏は或る晩、プールに忍び込み水中で踊る少女と出逢う。
その舞踏のうつくしさに圧倒されたW氏は彼女に懇願しその観客者たる資格を得る。
それからふたりには奇妙な交流が芽生えるが――

『少女+キーアイテム+※※欲求』をコンセプトにお贈りする
《報酬系》シリーズ第二弾。
独占せずにはいられない、僕らのための妄想譚。
(著作者サイトより)

sanka

kansou
報酬系シリーズ第二弾!
前作C君の時にも思いましたけど、これやで世津路さん!アンタこれやで…!と唸らずにはいられない作品。
個人的に、このシリーズが継続中の世津路作品で一番好きです。

作中の思春期の女子が抱える、ひと口に言葉にできぬ負の感情―というか、大人や男性には理解しにくい独特の思考回路を描くのが上手いなぁと思います。
自分の思春期には作中の彼女ような個性的な思考回路は無かったのですが、それでもこの時期の女の子の理解し難さに納得させられます。

世にも奇妙な…に代表されるようなちょっと不思議な世界観ではあるのですが、不条理系と括ってしまうには世津路色の強い作品。

第三弾『あの絵と同棲するPさんの弁明』もよかったです!(が、ここでは割愛)
ごく少数部しか領布されなかった前作『C君』未読の方、H16年に予定される総集編に収録とのことですよ!

kansou009

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発行:こんぽた。
判型:文庫(A6)  32P
頒布価格:100円
サイト:こんぽた。
レビュワー:堺屋皆人