わだつみの姫 奥州藤原氏~安倍宗任の娘~

arasuji
時は平安時代後期。前九年合戦で敗れ、筑前大島に流された安倍宗任。宗任の娘・那津(なつ)は大島で生まれのびのびと育っていた。
13歳の夏、那津は従兄の藤原清衡に呼ばれ平泉へと旅立つ。
後に奥州藤原氏第二代当主・藤原基衡の妻となる宗任女の生涯を描いた長編小説。

第三回Text-Revolutions Webカタログより転載


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奥州藤原氏の二代目・基衡とその妻・那津、基衡の乳兄弟・佐藤季春、三人の十代から晩年までの物語。
読んでいて特に印象的だったのは二点です。
那津の章、冒頭の「遥かなる故郷」での筑紫の大島の描写、十三歳の少女のまだ見ぬ父の故郷へのおそれと憧れに引き込まれました。
基衡の章「北を継ぐ者」で語られる、中尊寺金色堂を建立した父・清衡のこと。また「あらたまの命」で、それぞれの寺院建立について語る基衡・那津の場面。血縁同士の内乱を経て君臨した奥州藤原氏の人々が、なぜ莫大な財産を注ぎ込んでまで寺院を建てたのか思いの一端を見たように思います。
安倍宗任というと「奥州安達ヶ原」で人形浄瑠璃や歌舞伎に取り上げられる有名な人物ですが、その宗任の娘の物語もまた波瀾万丈で一気に読みました。

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発行:時代少年
判型:文庫判(A6) 276P
頒布価格:800円
レビュワー:庭鳥