SINGULARITY

arasuji

アンドロイドやロボットなど、AI(人工知能)を題材としたアンソロジーです。

執筆者(敬称略)

せらひかり,鹿彩もす,凪野基,水成豊,たまきこう,真北理奈,巫夏希,狐塚あやめ,まるた曜子,玉蟲,明日浦景,志津,真空中,朝昼兼,籠り虚院蝉,高柳総一郎,笠原小百合,なな,ウッパ,氷砂糖,神田春,育美はに,阿部屠龍,kud,神儺,青波零也,日野裕太郎,鳥井蒼,青柳たみ,猫春

(文学フリマWebカタログより転載)

 

kansou

好きジャンルなので、どの話もいろいろつっこんで聞きたくなりました。作者の認識と作品内での語りは違うものと前提しても、やはり「知性」に対する書き方の違いが面白くてつい「この場合私だったらどう書く?」と考えてしまったり。雑念(笑) 面白かったです。

『空の王』(神田春@hasetomo_kg 様)
爽やかなお話。といっても設定は暗めですが。ところでこの場合、『外』はどう危険なんだろう。ここの謎を解き明かして、外に行けて、それで彼らは外でどうやって生きていけるんだろうか。外の世界が気になる~

『A.I』(水成豊@miz_na_ri 様)
こちらも閉じた世界と外の話。楽園はひとには維持できないんでしょうね。

『終端のアザーブルー』(青波零也@aonami 様)
あちらとこちら。胡蝶の夢の未来版。またはリング3部作の逆転版。コメディ要素に救われます。

『Blue Ark』(真北理奈@Rina_sousaku 様)
登場人物が若いなあ。説明不足が否めないけど、ある種の反乱。それすらも《創造主》の手の上で。

『トレーサー・アンド・パートナー』(鹿彩もす@kasaimoss 様)
このシステムはいいなあ。サポートデスクからの派遣をこんなに怪しく演出する必要性は感じないけど、正規の方法じゃない治し方が面白かった。オリジナリティはひとりじゃうまれない。

『こっぺりあ狂想曲』(玉蟲@tamabunko 様)
モトネタがあるそうですが、面白かったです。公生と古辺留のやりとりもリズムがあってよかった。

『予想屋ミキチャンの華麗なる転身』(笠原小百合@sayuspi 様)
競馬の楽しみ方の一端を垣間見ました。母系父系で馬をひいきするひとは知り合いにもいたけど、買うときは違ったもんなー。

『イブの記録』(たまきこう@maamey_c0 様)
うーん、雰囲気。種明かしが唐突だし、それでも説明不足。その海は船を超えてどこまで行けるのだろうか。

『サジェストの奏でるハーモニー』(高柳総一郎@takayanagi0909 様)
そのハーモニーは不協和音に近いような。世界は変わっても、美しい世界は遠いですね。人の出会いってそもそも無限にチャンスがあるわけじゃなく、世界が作り上げた無敵感に呑まれたくないなら手探りで進むしかなく、生身の人間の手は本当にすぐそこまでしか届かない。テクノロジーは敵かしら?

『ハンネスの遺言』(ウッパ@uppa_yuki 様)
人には「あれは言わなくてよかった」というくせに自分は言わなくていいこと言うなあこの子。もう少し勉強してらっしゃい。ところでえっと、一流の殺し屋が一般市民に狙われる程度に知られてるんですか? それはもはや一流ではないのでは……

『罪の子ら』(せらひかり@hswelt 様)
尽くせとプログラミングされて、尽くす相手は失われる。保健担当者の気持ちがつらい。

『泡の器』(神儺@norakura10 様)
クスノキはどこへいくんだろう。自分が排除した《彼》と似て非なる道なんだろうか。戻って安穏と暮らすようにはとても思えない。

『stargazer』(凪野基@bg_nagino 様)
マシン化していく、それはどこまで自分なのか、という現実から続くであろう問いは義務も権利も引き連れて、尽きない悩みだけれど、じゃあ現時点での自分がどこまで自分なのかは、割と本人でもわからないと思う。その判断は誰かに感銘を受けてのものじゃない? その創作は他作品からインスピレーションを受けてない?
呑み込んだ自分が自分だと言い張れるなら、自分ではあり続けられると思う。あとは義務と権利だな。ジョーがんばれ。
ところで、マリとジョーにはしあわせな結末を願うけど、この世界にはすごいディストピア未来感じるんですけど! 夢と希望……ピザと予知が希望なんだよね、すげえ儚いんですが……

『アナタノタメニ』(志津@wanderer_xxx 様)
結末は空寒い、語りの視線と混乱が切なくて苦しい。なのに彼の行為は正しいと感じる。正しいってなんだろう。

『よく冷えた喋るトマトのはなし』(真空中@sinkuutyuu 様)
かわいらしい。やりとりが軽快でほほえましい。なかよし姉妹ってかんじ。ちなみに妹が年上です。

『幽霊星や宇宙を漂う真っ黒お化け』(なな@nano1257 様)
かわいい……。なんだこれ。かわいい……。(語彙死に

『お手伝いロボットとわたし』(巫夏希@natsuki_miko 様)
別れのワンシーン。将来ありそうですね。だいたい機械のほうが寿命短いし。そうすると、別れ方のサービスが商売にもなりますね。

『カース・メイカー』(籠り虚院蝉@komorikoinzen 様)
これは面白かった! 親子の断絶からまさかそういう展開になるとは。斜め上に到着。この問いはその時代その場に生きる人間にすごい決断をさせることになるよね。結論を知りたい。対の作品があるそうなので読みます。(そこに答えが書かれてるかは知りませんが)

『心層学習』(阿部屠龍@abe_dragonslay 様)
ひとはものを愛せるからね。私の認識上、すごく納得のお話。ラヴイ。

『進化』(朝昼兼@brunch_am1030 様)
面白かったのにいろいろ惜しい!説明不足でわかりにくい……。たぶん三人称の中に入る一人称がわかりにくい原因。視点が動き過ぎなんだと思う。だけどキャラがみんな魅力的で地文がシャレオツ。かっこいいー。(語彙、語彙)

『こんにちは、703号室のともだち』(日野裕太郎@hino_modoki 様)
あー! そういうこと! それは略せない。アイデンティティーだもの。そしてともだちがもっと見つかるといいね。

『四番目と草刈機』(猫春@nyanbal 様)
なかなか怖い逆転劇。人間らしさを追求することがこの世界のこれからにいいことなのか、大人も子供もわからない。けれど、羊は鳴くし草は伸びる。

『きみの名前を呼ぶ』(狐塚あやめ@blueflag_iris 様)
かわいい!後天的な精神的双子とおともだち。関係があやうい(笑)

『雨情のからす唄』(育美はに@dntk_Amachi 様)
美しく淋しい雨景色の中の、まだ足りないけれどしなやかでつよいこども。
好きなシチュエーションです。楽しくなることが自分でできる少女。

『ピュグマリオンの唄姫』(鳥井蒼@cyanos_blue 様)
ファムファタルに出逢った男の物語。破滅が美しいです。

『あなたのとなりで』(まるた曜子@musi_ko)
_(:3」∠)_

『かれの消えた日』(明日浦 景@NOZUE_K 様)
なにか序章のような。タイトルは「消えた日」ですけど、むしろ彼の認知上消えてないと思うので、これから消えていくのか、消えずに再構築を成し遂げるのか、とりあえず主犯のお父さんを一発殴らせてもらいたいところですね。

『さいごのひ』(氷砂糖@ice03g 様)
これは是非『月のワインの試飲会』を読んでください!ええー氷砂糖そうなるのか!でも道具の寿命ってあるよねえ……

『未完のポルタティーフ』(kud@Kud3kud 様)
状況はディストピアまっしぐらなのに明るく未来を感じる。朽ち果ててしまうだろう夢の国は、夢だから美しいのか。

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発行:ばるけん
判型:新書版 390P
頒布価格:1250円
サイトばるけん
レビュワー:まるた曜子