天宮塔子という女 特命捜査第五係

arasuji

ある事件を大きなきっかけとして警視庁内に設立された特命捜査第五係は、『憑きモノ』――魑魅魍魎の類が引き起こした事件を追い、それらを取り締まるための部署である。
再会した元恋人・六條に憑きモノが憑いていると確信した天宮塔子は、同僚の芳伊宗孝や部下の淵堂直正らと共にその足取りを追うが……。

(Pixiv試し読みより転載)

kansou

郷土民族博物館の爆破炎上事件から始まる憑きモノ事件簿。

妖怪や怪異と呼ばれるモノが引き起こす特殊な事件に、
『モノ』が見える特殊な人……天宮塔子が立ち向かう、という構図から始まる。
塔子に絶対服従の淵遠、ベテランの普通人芳伊、訳知りらしい禍護、
イマイチ得体の知れない梳永。そして、事件の首謀者と、天宮。

天宮の外れない勘を追い、事件を追ううちに事件が、首謀者が、禍護の因果が、淵遠が、芳伊が、『天宮塔子』という存在に収束していく。

表紙の雰囲気からサスペンスモノかとおもい読み進めると、超常現象、妖怪などが冒頭から示唆される。
最近あちらこちらで見かける特殊部署での一種のファンタジーかと思いきや、超常現象(妖怪/怪異)をフィルターに、底が果てしないことが見え始める。
過去、因果、勘という未来。報われない想い、そして、覚悟。
読み進めるうちに深まる疑問は解決されることはなく、六章での各々の決断には息を呑んだ。

サスペンス、というジャンルで良いのだろうか。
謎と緊張感に満ちた作品だった。

続き、を期待したいような、謎のままでいたいような…。
面白い、と言うよりもっと、興味深い作品。

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発行:Rebirth 本能
判型:文庫(A6) 200P
サイト刻雨煮
レビュワー:森村直也