答え合わせは戦火の中で

刀剣乱舞-ONLINE- 二次創作
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 今日は一期一振(他四人)と海に来ました。
 といっても、海は海でも火の海ですが。
「一期、大丈夫か?」
 メラメラと塀の奥で揺れる炎を横目に、俺――鶴丸国永が、隣で周囲を警戒する一期に声を掛ける。
「ええ。実は私、火は苦手ではないというか、こういう状況はとても気分が高揚するんですよ。あの日、歴史の一時代と一緒に豪快に燃やされて、むしろ清々したぐらいですから」
 えっ、そうなの!? それ、新事実発見というか、かなり驚きなんですけど!
 不敵な笑みを見せる一期と、それにちょっと引いてる俺の前に、敵・打刀が現れる。
「来たぞ。よりにもよって検非違使だ」
「望むところです」
 スルスルと剣を抜いた一期が、正眼に構える。
 鯉口を切った俺に、一期は敵から視線を外さずに告げた。
「ここは私一人で大丈夫です。鶴丸さんは、火に対する耐性が弱そうな人達の援護に行って下さい」
 ああ、そういえばあの弟達も燃やされてたな……って、あれ? 今日は俺以外全員『燃焼経験者』じゃん。まったくもって主様も意地が悪い。
「わかった。無茶するなよ」
「ご武運を」
 一瞬視線を合わせ、踵を返した俺は、彼らがいるポイントに向かった。

 一期の心配通り、骨喰藤四郎と薬研藤四郎は、敵・大太刀と敵・打刀相手に苦戦しているようだった。この状況だから、という訳ではないだろうが。
「大丈夫かっ?」
「鶴さん!」
 どちらも軽傷といった所か。まだ動けるな。
「俺が一瞬敵の動きを止めるから、その隙に殺りな」
 二人が頷いたと同時に、敵に突っ込みながら地面を蹴り上げる。空中で木立を使って方向転換しながら、敵・大太刀の頭上まで行くと、手頃な枝を掴んだ。
「ほーらよっと」
 枝を鉄棒代わりにくるりと大回転し、勢いを殺さず、両足を大太刀の頭上にお見舞いする。俺の動きに気を取られ、反撃しようとしたその隙に、走りこんできた薬研が大太刀の横っ腹に短刀を深々と刺す。
 倒れる瞬間、飛び退いた俺は、華麗にトンッとバク転して、敵・打刀の前にポーズを決めて降り立った。
「あっとひっとり~」
 今度は敵の右側に走り込み、側面の城塀に飛び移る。反応し、こちらを向いた敵の刃が俺に下ろされる直前、上体を捻じりながらひらりとそれを躱して、後ろ回し蹴りをお見舞いする。そこに敵の背後から、骨喰の胴切りが炸裂する。
 ストンと着地すると同時に、打刀は消散した。
「ありがとう、鶴さん」
「感謝する」
 お礼を言う薬研と骨喰に笑顔を見せ、ぐりぐりと頭を撫でる。
「俺はちょっと敵を攪乱させただけさ。他のやつらの様子見てくるから、後の雑魚は頼むな」
「分かった」
「くれぐれも無理はするなよ。一期も心配してたから」
 そう言い残し、俺はもう一つのポイントに急いだ。

 城門付近に到着すると、燭台切光忠と鯰尾藤四郎が敵・大太刀と交戦していた。
「他の様子はどうだいっ?」
 敵の刃を刀身で受け止めながら、大将の燭台切が尋ねてくる。
「一期は一人で大丈夫だって。骨喰と薬研の所の二体はもう倒した。こっちは?」
「あとはコイツで終わりだ」
 力押しで敵の刃を払った燭台切が、改めて両手で柄を握り直す。
 その隙を狙った鯰尾の攻撃は、敵の剣に払われ、衝撃で鯰尾が地面に転がった。
「大丈夫か!?」
 燭台切の呼びかけに「ああ」と返事はあったが、すぐには起き上がれそうにない。
「みっちゃん、俺は左から行く」
 返事を待たずに、左側の橋の欄干を素早く移動し、敵の背後を取る。振り返った敵と目が合った瞬間、思いっきり飛び上がる。
 敵の上空を飛び越えた瞬間、敵の刃と燭台切の刃が交わり、鍔迫り合いになった。共に身体をぶつけ合い、絶対に譲らない。と、一瞬わざと力を抜いて隙を作った燭台切が、逆袈裟懸けで敵を倒す。
 それを見届けた俺は、倒れている鯰尾の元に走り寄った。
「大丈夫か?」
「……ああ、何とか」
 刀を鞘に納めた燭台切も、心配そうにやって来る。
 取り敢えず鯰尾の刀剣をしまい、顔についた泥を払ってやった。
「鶴さん、ありがとう」
「二人とも疲れてるだろうから、無理しないで。俺は一期の様子を見てくるよ」
「すまない。他の二人と合流して追い掛けるから」
 頷き、今まで遭遇した検非違使を思い出しながら、俺は全速力で一期の元に向かった。

 城の敷地に入り、その後ろ姿を見つけた瞬間、俺は走りながら抜刀した。
 悪い予感が的中し、敵・槍が一期ににじり寄っている。
「一期、避けろっ」
 俺は力一杯地面を蹴り上げ、剣を上段に構えた。気付き、横に飛び退いた一期の向こうで、敵が槍を持ち替え、切っ先をこちらに向ける。
「悪いがその攻撃は読んでたぜ」
 銀の矢が繰り出される瞬間、俺はそれを右足で蹴飛ばすと、落下速を利用して剣を打ち下ろした。それなりの手応えはあったが、まだ倒すには至らない。
 すぐさま距離を取ると、間髪入れずに一期が敵に切りかかる。綺麗に銀線を描いたその刃はしかし、敵の動きを少し鈍くしただけだった。
「相変わらず硬ぇなぁ」
「鶴丸さん!」
 呼ばれ、こちら飛んでくる、燃えさかる木材が目に入る。
 当たる! と思った瞬間、一期が力一杯俺を突き飛ばした。先程居た場所に、ドスンと音を立てて火柱が落ちる。
 数メートル地面を滑った俺が次に見た光景は、すぐに起き上がれず逃げ遅れた一期の背中に、深々と敵が槍を突き刺さすシーンだった。
「一期ぉっ!!」
 叫びながら、無我夢中で敵の懐に走り込む。一期の身体から切っ先を抜いた敵が、俺に向かってフルスイングしてくる。
「当たるかよ!」
 その軌道の飛び越えた俺は、作法も型も関係なく、無茶苦茶に剣を振り回した。効いてるのか怯んでるのか、敵が槍をガランと落とす。
 あと一撃!
 と俺の腹に、敵のボディブローが突き刺さる。がはっと悶絶しながら、俺は再び地面に転がった。
「こりゃ、ハァ……、驚いた。何でもアリだな」
 再び槍を手にした敵に、俺は両手で柄を握り、正面から突っ込んだ。互いの切っ先のすれ違い様、バンと剣先でそれを払い、脇を締めて軌道を戻す。見極め、ここ、というタイミングで両腕を力一杯延ばす。
 胸に剣が刺さった瞬間、俺は左足に力を溜め、右足を思いっきり敵の腹にめり込ませた。と同時に、剣を引き抜く。
敵はそのままふっ飛び、奥の樹に激突して、ずるずると崩れ落ちた。俺も、何度か地面を転がり、止まる。
 ――まだ倒していない。
 何とか膝に両手をあてて、立ち上がる。今日はずっと走るか飛んでるかなので、いつにも増して脚に乳酸が溜まっているようだ。
「こんなのが主様にバレたら、なに言われるやら……っ」
 憎まれ口を叩きながら気合いで上体を起こすと、俺は倒れている一期を塀の所まで運び、座らせた。本人の肩のローブを借り、応急処置的に身体に巻き付け、ぎゅっと結ぶ。そして、少し離れた所にあった一期一振を取ってきて、傍に置いた。
「も、申し訳…ない……」
 意識を取り戻した一期が、息も絶え絶えに呟く。「こっちこそ悪い」と謝り、一期の口元の血を拭う。
 血の気が抜けた痛々しい顔を見ながら、決意を固める。
 絶対に斃す、と。
「いち、こんな時に悪い。三秒時間頂戴」
 少し目を見開いた一期に構わず、俺は口唇を重ねた。
 きっちり三秒。鉄の味のキスを終え、ゆっくりと立ち上がる。
「パワー貰ったから、もうひと頑張りしてくる」
 若干の呆れを含んだ笑みに見送られ、俺は改めて敵と向かい合った。ゆっくりと歩み寄り、落ちている鶴丸国永を左手で拾い上げる。
「待たせたな。ラストダンスだぜ」
 無防備に近づく俺に、確実に仕留める気なのか中段之構えをする。でもお前相手じゃ恐くない。この動きは、槍術というより棒術だ。筋肉で力押しする自信があるから、刃で倒すことに拘りがない。
 呼吸を整え、敵の間合いに入る。
 繰り出された軌道を読み、即座にジャンプした俺は、タンッとその柄の棒に飛び乗り、もう一度飛んだ。空中で一回転し、敵の背後に着地すると同時に、右足を軸に、左足で半円を描くようにターンして衝撃を逃がす。そして今度は、少し引き寄せた左足に、重心を移す。
「鶴は何度でも舞うんだぜっ」
 再び跳んだ俺は、空中で剣をくるりと回し、握り直した。振り返ろうとする敵の脳天に、真っすぐ剣を突き立てる。
 ズブズブという鈍い感覚。柄まで通ったのと同時に手を離し、後ろ飛びを決めて着地した。背後で、敵の呻く声が響く。
 だが、気配がなかなか消えない。
「鶴丸さん!」
 突然の声に顔を上げると当時に、こちらに向かって一期一振が飛んでくる。避けた俺の頭上を掠め、ドスッと敵に刺さる。
 やがて、敵が消散したのを知らせるかのように、鶴丸国永と一期一振が地面に落ちる音がした。ほっと安堵して地面を両手に着き、大きく息を吐くと、一緒に大量の血液が飛び散る。緊張から弛緩した途端、本当に全身鋼状態で動けない。
 それでも、と顔を上げると、一期は小さく頷き、そしてゆっくり瞼を閉じた。白い手袋の鮮血は、先程自分を投げた時に切ったものだろう。だんだん視界が霞む。
 意識が遠のきかけた瞬間、俺達を呼ぶ声と共に、複数の足音が聞こえてきた。
「大丈夫かい!?」
 駆け寄って来た燭台切に「もう駄目」と身体を預ける。一期の元には、弟達が心配そうに集まっている。
「帰還命令も出たし、直ぐに帰ろう。一期さんはどうだい?」
 様子を見ていた薬研が、こちらにやって来る。
「意識も無いし出血も多い。早く手入れをした方が良いな」
「オーケー。一期さんはボクが運ぶよ」
 そう言って俺を薬研に任せた燭台切が、ひょいと一期をお姫様抱っこする。
 ええっ、その役、俺がやりたいんですけど!
「さあ、俺につかまって。たぶん内臓がいってる」
 具合を見ていた薬研の言葉に、自分の身体がお姫様抱っこ不適合なのを認めた俺は、肩を借りて立ち上がった。
 クソボロだけど、本丸に帰れる事に安堵しながら。


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サークル名:BRADDY毒苺堂(URL
執筆者名:白河 紫苑

一言アピール
刀剣乱舞の二次創作です。合戦場は大阪城~昼の陣~という架空設定で、つるいち風味になります。何でも許せる方向け。pixivに後日談があります。
テキレボ合わせで発行されるNatural maker様主催のテーマアンソロジーにも、この『答え合わせ』シリーズで寄稿しておりますので、宜しかったら是非。

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