妖都上海のでぶ女


巨大な蝸牛に似た階差機関「転輪聖機」を中心に座する妖都上海。その一角で育つ少女雪娥の悩みは迫ってくる纏足への恐怖だった。

「私は四つの時にやったの。覚悟しておくことね」

「見なさい、私の足、こんなに小さくて可愛いの」

「虫さされよ。たいしたことないわ」

 雪娥にはよく解らない言葉が弔問客や父母たちの間で飛び交っていた。妊娠、子供、不義、密通、自決。

 赤い籠に乗せられて、英蓮は知らないお家にいってしまった。
第十八回文学フリマWEBカタログより転載)

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