みのり二人


 寒い大雪の日。体調を崩したみのりが学校を早退してくると、母親がいるはずの家には鍵がかかり、なぜか雨戸まで閉められていた。
 通りがかったお姉さんに助けられて、みのりはお姉さんのアパートに落ち着く。
「それよりさ、その『お姉さん』って呼び方、何かやだな…私、みのりって言うの。みのりでいいよ」
「ええ?!………私も、『みのり』なんです。ホントです」
 同じ「みのり」という名前で、顔もみのりに似たお姉さん。初めて会うその彼女は、みのりの趣味や、誰にも言っていないはずの悩みを次々に言い当ててくる…。
 思わぬラストが待つ、心温まるSF短編。

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どろぼう先生


流れ者の教師にして事務所破りのプロ・因幡先生は、この春から東北の日本海沿いの港町にいる。
高校の教壇に立つ先生は、鶴坂真冬という三年生が居眠りばかりしているのを気に掛けていた。同僚の教師たちの評判も悪く、このままでは成績が危うい。
そんなある日、先生は鶴坂が居酒屋で遅くまで働くのに出くわす。帰りを待ち伏せて話を聞くと、家が貧しいので進学の資金を貯めているという。
「大学に行って、それで…できたら私、学校の先生になりたいんです…私みたいな子のこと分かってあげられて、励ましてあげられる先生になりたいんです」
納得しつつも彼女のプランに危うさを感じた先生は、別の進学手段を勧めるのだが………。

教師と泥棒を掛け持つ奇妙な男が紡ぐ、か弱き者たちの「闘い」を描いたドラマ。

※公式サイトより転載

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