2016年9月17日 / 最終更新日時 : 2016年9月17日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 金魚鉢 精神インナーに、眼帯のイケメンを飼っている。 これがいつから私の脳内にいるのかはよく分からない。いつ出会ったのかはわかる──去年二〇一五年一月十八日、記念すべき出会いの日。但しこやつがいつから脳内に棲みだしたのかの日 […]
2016年9月16日 / 最終更新日時 : 2016年9月15日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 咲く花にひとの輪は回る 代金をもらって土色の紙にくるんだ花束を差し出すと、その女性客は「売り物はきれいなんだから、包み紙やボウヤたちの身なりも少しはきれいにしたら」と笑って去っていった。 黒髪の生え際が皮脂で固まり衣服の上下ともつぎはぎだら […]
2016年9月16日 / 最終更新日時 : 2016年9月15日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 星間 「ジョー、アレックス。二人とも居るか」 空気が圧縮される音と共にハッチが開き、赤毛の男が顔を出した。片手は壁に添えられ、無重力の宇宙船内で体が進みすぎないように軽い制御をかけている。 居室にいた二人の男が、声に同時に […]
2016年9月16日 / 最終更新日時 : 2016年9月15日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 逢瀬の凪桜 人ならざる種族が、人の決めた業と法で駆逐されるとは一体何事だ。人間風情めが。 白蛇はそう息巻いて、いささか興奮気味に憤る。 それをまあまあ、と目を細めた白狐が、可笑しそうに笑う。 空では龍がうすらと笑いをあげて思 […]
2016年9月16日 / 最終更新日時 : 2016年9月15日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 和解 ゴウゥッ、と購入してから十年が経とうとしているエアコンが、唸るような低い稼働音を響かせながら冷風を吐き出す。部屋には女が二人、脚の短いテーブルを挟んでソファに腰かけていた。 卓には汗のかいたグラスが二つ並び、闇のよう […]
2016年9月15日 / 最終更新日時 : 2016年9月15日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 餃子パーティ 「もう手を出さないで。ここは私がやる」 ナイフを握りこんだまま、私は目の前の男を見据えた。 「いやです、僕だって、もっとやってみたい」 その男はボウルの縁に指をかけたまま、譲る気配を見せない。 「今求められるものは冷 […]
2016年9月15日 / 最終更新日時 : 2016年9月15日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 温故 「手でかき混ぜるんじゃないのか」 「糠が付いたら面倒だろう?」 Aが竹箆を渡してきた。 昭和初期に建てられた一軒家を購入し、リフォームした。広い庭もついていた。だが、まだ家庭菜園にまでは踏み切れてない。どちらも現役生 […]
2016年9月15日 / 最終更新日時 : 2016年9月17日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 でこぼこの調和 『次号企画案(仮):学年で目立つ人物選手権』。 会議室の黒板に大きく書かれた題目を背にして、熱く語る広報部員の弁で、第七十九回機関紙企画会議は始まった。 曰く、 十代の頃、学生の感性というものは、繊細で鋭敏だ。我々 […]
2016年9月15日 / 最終更新日時 : 2016年9月14日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 北陸アンソロジーQ&A アンソロジーの紹介って何が一番いいのかな、どうしたらその魅力が伝わるのかなっていうのを悩みに悩み尽くした結果、締め切りギリギリになり、脳みそが飽和状態になってきたので、もうブログを書くノリでいいや!ってことで、テキレボで […]
2016年9月14日 / 最終更新日時 : 2016年9月14日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 夕焼けの村 皆さん、はじめまして。私は『夕焼けの村』にたった一軒しかない家の主です。 『夕焼けの村』なんて知らないですって? そりゃあそうでしょう。この村の存在を知る者はごくわずかです。ここを訪れた人たちは、ここで過ごしたことも […]