2018年4月25日 / 最終更新日時 : 2018年4月24日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 同人ストレイドッグス最終回~打ち上げ花火~ 夏。太陽。砂浜。たくさんの人間。正座。 「気持ちはわかるぜ。だが、俺たちは一片の悔いもねえ」 「悔いなさい」 蝶がごときひらひらとした水着の女性。彼女の叱責が即飛ぶ。 「考えてみろ曜子、俺たちは見たんだ。大和とゴジラ […]
2018年4月25日 / 最終更新日時 : 2018年4月24日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 手の届かないところ 「海にしますか、山にしますかって。それくらいこっちの人間にとって、海って身近なのね」 黒くなったテレビをシンがぼんやり見つめていると、ふいと左手から声がした。視線を向ければ、マグカップを二つ手にしたリンが台所から顔を出 […]
2018年4月25日 / 最終更新日時 : 2018年4月24日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 遙かなる道程 1890年12月 冬晴れの倫敦 青年は故郷を遠く離れ、異邦の地で葬儀に参列していた。 ヴィクトリア女王を戴く印度いんど帝国に生まれた彼が、弁護士になる志を抱いて海を渡り、大英帝国の首都倫敦ろんどんにやってきたのは1 […]
2018年4月24日 / 最終更新日時 : 2018年4月23日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 幸運な子供たち 大きな墜落事故だったのだ。世界中を釘付けにしたニュースの更新は暇なくシチズンウェブのホットワードを埋め、1週間後に海で見つかった子供は『奇跡の少女』と人々を滂沱させ、彼女を救うためたちまち義捐金が寄せられ、治療のため本 […]
2018年4月24日 / 最終更新日時 : 2018年4月23日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 カメラ越しの君を水平線の彼方まで追って 「頼む。俺さ、昨日ゲーセンの“太鼓の鋼人”で、マキシマム ザ ホルモンのメドレーを上級者用8kgバチ使って三時間ぶっ続けで演奏したら両腕を痛めた。それなのに明日『アイドルでGO』の期間限定イベントがあるんだ。俺のかわりに […]
2018年4月24日 / 最終更新日時 : 2018年4月23日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 消えた海坊主 ――あのさあ、プールに海坊主がいたって話、知ってる? 「ねえ、染井さんがオカ研ってホント?」 昼休み、ピカピカに磨かれて光る爪をいじりながら、蛯子さんが私のところにやってくるなり不躾にそう尋ねた。 「そ、そうですけど」 […]
2018年4月23日 / 最終更新日時 : 2018年4月21日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 深海狂想曲~宇宙駅『神田』人情奇譚~ 「もう! 秀しゅうくんたら、いっつも自分が、どうにかすれば良いと思っているんだから!」 小さな女の子を二本の触手で背中に抱えた、灰色の小型ドラム缶そっくりの触手少年が走っていく。 「なんで僕、こんなに足が遅いのかな…… […]
2018年4月23日 / 最終更新日時 : 2018年4月21日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海色の泉 ほんの数年前の話だ。村から少し離れた泉に、幽霊が出ると言われるようになったのは。幽霊。精霊のいるこの世界で、それとはまた別の曖昧な存在の名称。もっとも、クロードにとっては見えない存在は恐れる対象というよりは興味の対象だ […]
2018年4月23日 / 最終更新日時 : 2018年4月21日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 シュメルツの女と海 夏のシーズンはとうに過ぎ、冬の淡い青空の下に海が広がっていた。日差しは柔らかく、波はきらめいている。親子連れが波打ち際で、押し寄せる波と戯れていた。 「潮臭いなぁ」 感嘆が隣から漏れた。恋人の佐久馬のつぶやきだ。 私 […]
2018年4月21日 / 最終更新日時 : 2018年4月20日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海へ 二十年前 赤い双翼が、夏の夕空に侵し入った。 ヴェスティオ王国の都サナティアに、赤竜襲来を報せる早鐘が慌ただしく鳴り響く。当時二十歳だったジェラベルド・バルナランドは、赤竜討伐団の一員として郊外の襲撃地点へと急行し […]