2020年11月19日 / 最終更新日時 : 2020年11月18日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 出せなかった手紙 やあ、元気かい。あれから十年経ったね。 ルヴェルナウタは相変わらずだよ、今日も番人さまは船出を見守っておられる。 そうだ、幸運なことにね、あの時書いてたあたしの大事な原稿がさ、去年本になったんだよ。装身具屋の碧森堂が […]
2020年11月18日 / 最終更新日時 : 2020年11月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 女神のきまぐれ 手紙が届いた。郵便受けのそばで立ち尽くす。七年間、ひたすらに待ち続けた手紙だ。 次いで、はっと表書きを隠すように胸先に押しあて、急いで下宿の部屋へ戻る。 信じがたさと焦れったさにうまく動かない指で封を切る。 晩秋の夕日 […]
2020年11月18日 / 最終更新日時 : 2020年11月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 文字を乗せた紙飛行機 「何をしているんだい」 問う青年の声に、幼い少女は振り向いた。「かみひこうきをとばしているの」 それは誰が見ても一目瞭然だった。けれど、青年が不思議に感じたのはそこではない。 少女は確かに紙飛行機を飛ばしている。けれどお […]
2020年11月18日 / 最終更新日時 : 2020年11月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 友人より 学食の手前にはソファの並ぶホールがあり、講義の合間に学生が時間を潰すためのたまり場になっていた。 本やノートを開いて勉強をしているものはごく少数で、おおむね友人同士で雑談をしているか、あるいはスマートフォンを横にして画 […]
2020年11月17日 / 最終更新日時 : 2020年11月16日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手書きの感染経路 スーパーマーケットと自宅のちょうど真ん中あたりに位置する公園はいつもと変わらないように見えた。 四方を民家に囲まれた長方形のスペースは、芝生で覆われた広場と遊具が点在するエリアにおおまかにわかれている。いずれも手入れの […]
2020年11月17日 / 最終更新日時 : 2020年11月16日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 生活指導、春風号!! 紅姉さんの勤務日誌の巻 その界隈は入り組んで、宇宙船事故が多い。破損した宇宙船が漂うと更に危険が増すという、悪循環。 すると「先飛行生物」ばかりがその場を闊歩するようになる。宇宙船が開発される前から生身で宇宙空間を飛び回っていた、便利な生き物 […]
2020年11月17日 / 最終更新日時 : 2020年11月16日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 ポンティアナック 昭和三十五年八月九日(消印) 八月十二日 戸田達夫宅に配達(差出人不明) しば□□あなたのもとに□□ませんでしたが、ようやく□□□て参りました。たいせつな□□ちゃんを守れなくてごめんなさい。 昭和三十五年八月十三日 戸田 […]
2020年11月16日 / 最終更新日時 : 2020年11月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 大切なあなたへ 『李音りねへ こんな形でキミに手紙を書くことになるなんて思わなかったから、何から書こうかと悩んでいます。 李音は初めて出逢った時のこと、覚えていますか?あの大きな公園の、大きな桜の木の下。俺が気に入っているヴァイオリンの […]
2020年11月16日 / 最終更新日時 : 2020年11月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 消印有効 この世のどこか ではなく 押された消印のあたりに あなたが生きているんだなぁと感じる 間違いのない証拠のように あなたが生きているんだなぁと 深く感じる 確かな日付と曖昧な位置だけでも あなたとわたしは繋がり 生きあって […]
2020年11月16日 / 最終更新日時 : 2020年11月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 十一 この手紙を読んでくださっている貴方様へ ご機嫌麗しゅう。 どこにいらっしゃるどなた様だか存じ上げませんが、そんなことは些細なことです。どこでこの手紙をお拾いになったのか、それはもっと些細なことです。貴方の個人情報を詮索 […]