2020年12月24日 / 最終更新日時 : 2020年12月23日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 満月の消印 お元気ですか!しおりありがとう!! とてもかわいい。大事にします。最近読み始めた本にさっそく挟みました。冬がどんどん近づいてきてるので、支度にみんな大忙しです。そうじゃなくてもうちは騒がしいんだけど! 今年の冬は向こうと […]
2020年12月24日 / 最終更新日時 : 2020年12月23日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 タトラの山の義賊と牛飼い ブナの木々の梢が風に揺れ、鴉が空高く舞い上がった。 針葉樹に覆われたタトラの山深く。切り立った岩場の上、肩を覆う短いマントをはためかせながら、ユライ・ヤーノシークは立っている。歳は二十歳を過ぎたばかり。少年の面影を残す […]
2020年12月24日 / 最終更新日時 : 2020年12月23日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 5歳長女と3歳次女、手紙を書く ある日、幼稚園からの連絡帳に、小さな白い紙袋が挟まっていました。中にははがきが一枚。友情の絵はがき。裏を見れば、手紙を書く面の上半分にはカラフルな絵が描かれています。絵のタイトルは「みんなで夜のピクニック」。恩田陸の「 […]
2020年12月24日 / 最終更新日時 : 2020年12月23日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 海に手紙を出すならば わたしがあの人の音楽を弾くようになって、それなりが経った。 うまくなった気はしない。よいものかもわからない。ただ手応えのないまま闇雲にめったやたらに続け続けて。 「月にむかってどこまでも飛ぶ虫みたいだな」 いつも、そ […]
2020年12月24日 / 最終更新日時 : 2020年12月23日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 怪奇探偵 死者からの手紙 「手紙の鑑定をお願いしたいんです」 応接ソファーに座った青年は、膝の上で手を固く握りしめている。どこか青ざめたような顔色を見るに、緊張しているのかもしれない。こんなに緊張している人を見ることはあまりにないから、緊張が伝染 […]
2020年12月23日 / 最終更新日時 : 2020年12月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 棕梠の姫 そのコンクリートの塀を城壁と呼んでいた。広い広い敷地を囲って、高さもあり、壁の上には有刺鉄線が張り巡らされいかめしい。書道教室の行き帰りにいつも通る道で、城壁の作る影は湿っていた。苔が生え、蟻や蜘蛛が這っていた。蟻を目 […]
2020年12月23日 / 最終更新日時 : 2020年12月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 出せなかった手紙 ――天ヶ瀬結様―― 荷物の整理をしていると、ファイルの間から一通の封筒がひらりと足元に落ちた。そこに書かれている宛名を見て、オレはそれが結局出せずじまいになってしまった手紙だと気が付く。 懐かしい名前に、オレの心の中に […]
2020年12月23日 / 最終更新日時 : 2020年12月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 母を知らぬ片羽根の鳥たちへ ー拝啓イデアの救世主様へー むかしむかし、乙木家という華族の血筋を引いた立派な名家がありました。細君と称される美しく品の良い妻を旦那様が娶ったことにより、人々は名家に才色兼備な子宝を望み続けました。しかし奥様は長年不妊 […]
2020年12月23日 / 最終更新日時 : 2020年12月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 アトリが跳ぶころ 花が咲く、と祖父は言っていた。 その場に、その空気に。厳かにして密やかな、誰にも手折られてはいけない花が。 ひとたび風が吹けば、新緑の髪がはらはらと揺れて視界いっぱいに広がった。日が傾くころには、紅みを帯びた光が照って […]
2020年12月23日 / 最終更新日時 : 2020年12月22日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 紡ぐ血筋 「ファンレター?」「うん。どっさり来てるよ牧場に」北海道新ひだか町、日高への国道を少し外れたところにある小規模な牧場「かわの牧場」。この牧場に、突然ファンレターやプレゼントが大量に届くようになっていた。無理もない。この小 […]