2020年12月19日 / 最終更新日時 : 2020年12月18日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 コラム「送信元:名誉社員ヤギ」 こんにち、ほとんど全ての生き物がこうして読み、書くことができる。きっかけとなった書籍をご存知だろうか。「ヤギでもわかる! 鳴き声言語プログラミング入門」である。 この書籍は、あるロボットシュレッダーメーカーに勤めていた […]
2019年8月23日 / 最終更新日時 : 2019年8月23日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 蟹摂食思考機構 『え、待って待って待って。なんて言った?』 ディスプレイに映ったタマちゃんが眉間に皺を寄せる。あお髪のポニーテール、まるいのに鋭い眼つき、すっきりとした顎と鼻筋はデータであることを差し引いてもとてもきれいな女の子だ。そん […]
2019年2月14日 / 最終更新日時 : 2019年2月13日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 しろがねのひめ 『薔薇園』は、バス停から三十分歩いたところにある。 山を下る道の途中、錆び付いてぼろぼろになったバス停の前には民家が二つあるだけだ。ちかちか、じりじり鳴く街灯がひとつ。降りるのはいつもアタシひとりだった。 民家も道 […]
2018年6月8日 / 最終更新日時 : 2018年6月7日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 海の忘れもの 「ね、行こ」 昼のぼやけた陽光を背にして、貴海きみが僕の腕を引っ張った。昼寝から覚醒したばかりの僕はひ弱な少女のすらりとした、長いだけの腕に抗うこともせず引き起こされる。 これだけのことに疲れた貴海はうすっぺらでひょ […]
2018年4月16日 / 最終更新日時 : 2018年4月15日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 あんたなんか食べてやる あんたなんか食べてやる。私よりもずっと、海の底にいて、海をしっていて、海に知られていて、海に受け入れられているあなたなんか、四肢をもいで、頭の中身まで全て食べ尽くしてやるんだから。 あかい殻の、細長い脚を曲がっている […]
2017年9月1日 / 最終更新日時 : 2017年9月1日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 飛ばない龍はただの蛇だ ほら、あそこです。 真くらい池の水面を、懐中電灯が丸く切り抜く。池はみどりいろに濁って魚も見えない。水面に浮かぶ葉も多い。身を乗り出すが、そもそもどこまでが地面かも分からなかった。 眼をこらすと、水面の奥にしろい帯 […]
2017年1月18日 / 最終更新日時 : 2017年1月18日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 星の落ちる町 新しい服は足がすうすうして気に入らなかった。 青いスカートの短パン、白いシャツの襟も青くて大きくて、背中にたれるほどだ。白く平べったい帽子を頭に載せられて、髪の毛もいつもと違うように変えられて、自分が自分でないみたい […]
2016年9月4日 / 最終更新日時 : 2016年9月3日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 わ 確かに、このくらいの背丈で、多分十歳くらいの日本人の女の子だと言った。だが、探しているのは今目の前にいる少女ではない。 どうしたものか。出会い頭はきょとんとしていた顔を、子どもらしい笑顔にすげ替えた少女。彼女はただそ […]
2016年7月27日 / 最終更新日時 : 2020年8月21日 Review Review 輝く瞳に夜の色 その夜、竜は恋をした。 竜を召喚する女と、召喚される竜をめぐる情念。 第70回~84回フリーワンライ作品集短編連作。 フリーワンライ(提示されたお題からひとつ以上のテーマを選択して一時間で文章作品を作成する企画)という […]