君は虹を知らない


環境適応型人造人間第四番、外周治安維持部隊隊長。
それらの肩書きが、どれだけ君を正しく表していただろうか。
灰色の空の下、見えない虹を追い求めた永遠の少年……ヒース・ガーランドの喜劇的な生涯にまつわる、六つ+αの断片的「記憶」。
青波零也による、空想未来『終末の国』を舞台にしたSFファンタジィ連作短編集。
(創作文芸見本誌会場Happy Readingより引用)

すべての短編の中心人物、ヒース・ガーランドは魅力的なキャラクターで、読み終わったあと、彼のことをもっと知りたいと、彼の物語をもっと読みたいと思いました。彼の中には、あらゆる感情があって、そのひとつひとつを読んでいくようでした。人間には誰にだって感情があるけれど、誰しも知らない感情というものがあると思います。でも、ヒースはすべてを知っているのではないかと思わせる、あらゆる側面を見ることができました。そのどれもが、心地よく、彼のことがどんどん好きになっていく。彼にはまだまだ謎があり、その深さゆえにすべてを見ることはできず、とてももどかしいです。とても優しいヒースの物語です。


発行:シアワセモノマニア
判型:A5 108P
頒布価格:600円
サイト:シアワセモノマニア

レビュワー:真乃晴花