猟犬の残効(3)

2022年ニューヨーク。フリージャーナリストのダイアンは元ギルバードと共に奇妙な失踪事件に携わる。犯人は誰か。何故起きたのか。一切が不明の中、浮かび上がってくるダイアンとギルバード、そして養女のジャンナの過去。察そうする事件はやがて大きな転換期を向かえ、三人の手から離れ始めていく(裏表紙より転載)

 この物語の主人公であるダイアン、このキャラクターは序盤にて非常に強く屈強な女性であり、物語と読者を引っ張っていく力があることが自然と感じられました。
だが、養女であるジャンナの登場と共に、ダイアンは女性的な弱さが非常に露見し始め、主人公の心境と物語の確信が徐々にあらわになり始めました。
ダイアン同様、本書のキャラクターは表向き非常に強い人間が数多く出てきます。
だが同じように弱さが描かれており、登場人物の心が非常に赤裸々に伝わってきます。
 本書の特徴として、近未来の細かな設定が所々にちりばめられており、読み解くと同時にその近未来の世界に入り込む事ができるようになっていました。
近未来物語として非常に面白い作品であると思います。
 また物語はかなりダークな話であり戦争等に対しての批判的な話が数多く出てきます。だが、裏社会といった世界に住む人たちが多く書かれており、単純に悪を否定してるばかりというわけではなく多角的な視点で動く話でした。
 
 物語として非常に読みやすい文章であり、細かな設定があるにもかかわらずその設定が自然と理解できる読んでいて楽しい作品でした。内容はダークな世界ですが、その様な世界観が好きという人に間違いなくオススメできる良い本だったと思います。

最後に、三日月理音さん作品である本書の一部を手伝わせてくださったことを感謝します。

ジャンナ超可愛い、20代病弱?系が流行る!


発行:HONKY-TONK
判型:新書版 108P
頒布価格:600円
サイト:BAR道化倶楽部
レビュワー:ヤオ