混沌の住人(2)


キャリア組から望んでわざわざマル暴に移動してきた目黒警視正と、四課でも一目置かれている鮫島警部のバディ小説。

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 混沌の住人(2)

危ない刑事にしても相棒にしてもバディムービーにしても、若いのとベテラン年配のコンビが出てくる刑事モノは周囲を巻き添えにしつつ垣間見える人間ドラマの部分がだいたい一番おいしい。ショートケーキの苺だ。
食わせ者の大崎課長、耳慣れないイントネーションのラーメン屋の店主、爽やかな容姿の街金従業員と客のニューハーフ、2年前にコンビを組んでいた一課の乃木、メンツを重んじるタイプの一課の管理官長坂…
ザックリとしていながらキャラクター各自の持ち味は明示されているのが刑事ドラマの第一回の放送を観ているような気分になれる。
続編を読んでみたい。
「抑止7・検挙3」や、日本料理店の仲居が栓抜きに鈴の付いた根付けを付けている、という辺りのこまやかな描写がニクい。


発行:BRADDY VOICE
判型:A5 40P
頒布価格:300円
サイト:BRADDY通信
レビュワー:塔下輝