繭のみる夢


“ひと”と“ひとならぬもの”の関わりを主軸とする、2001年~2005年に発表した短編・掌編6編を収録。完売誌だが、収録作のうち「吠えるひと」「姉、来たる」「宴のあと」は、2013年現在サイトにて公開。

人ならぬ者たちと人とのお話が続いていく。その中で印象に残っているのが「姉、来たる」だ。
何となく、そうなのかと思いながら読み進め、最後に寂しさを感じる。分かっているんだけれど、「違うよね?」と考えずにはいられないのは何でだろうか。
私はこの寂しさを、まだ実感として持っていない。想像するだけだ。それゆえに、まだはっきりと形にならないこの寂しさに、うす暗い怖さを感じた。
短編集の最後のお話「Q氏の道楽」、やはり最後を締めるのは人なのだ、と思わせる一文に、きっとこの本に出てくる人ならぬ者たちは思うかもしれない。


発行:虚影庵
判型:A5 76P
頒布価格:500円
サイト:虚影庵電子寮

レビュワー:神風零