「本多先生、斉木美保さんが昨日の診察直後に鉄道自殺してしまったそうです……」
「ああ、そうなんですか。気の毒でしたね」
態度が露骨にそっけなかったか。まあいい。メンヘラなどという社会のゴミはどんどん死ねばいい。後押しをする俺は有益な存在だ。
勤務を終えた午後七時、渋滞にイラつきながら俺は踏切を通過しようとした。
……ガスン、と言ってエンジンが止まった。
おいおい、とつぶやきながら俺はスターターを回した。しかし、何の反応もない。
カンカンカン、という警報の音が鳴り、やがて遮断機が下りた。踏切の真ん中に閉じ込められた俺は、真っ青になって車から飛び出ようとした。
……ドアが開かない!
プアアン、という音と共に電車が近づく……
「本多先生、まさか患者さんと同じ所で……」
「恨みは買いたくないですね。おお怖……」