ステサレ(第八十一夜)

仕事がない。さっぱり来ない。

一時期はこれでもかとテレビに出ていた。人気絶頂、女にももてた。しかし、翳りは1年もしないうちに訪れ、あっという間に世間に忘れ去られた。

バイトでどうにか食い繋ぎ、数少ない営業の仕事で、自分のメンタルを保っている。

暇を持て余し、テレビをつけてみる。画面の向こうに広がる、あの頃のまばゆい世界が懐かしい。

画面では、ひな壇芸人と呼ばれる有象無象が騒いでいる。それすらも、今の俺には心底うらやましい。

そこに、一人のゲストが呼び込まれる。

俺は跳ね起きた。意味がわからなかった。

テレビには……俺が映っていた。

あれは、誰だ。なぜ、俺がそこにいる。

昼の看板番組。生放送。俺はここにいる。なのに、なぜ?

司会が尋ねる。

「一時期姿を消しましたが、奇跡の復活ですね。引越しもされたと聞きましたよ?」

呆然と画面を眺める俺の前で、その『俺』は余裕たっぷりに応えた。

「ええ、古い自分は古い家に捨ててきましたから」