第六十一夜

千葉に住んでいる母方の祖母は、大の動物好きです。柴犬の金太郎とは、一緒にお風呂に入っている写真が残っていますが、記憶にありません。黒猫のミミのことはよく覚えていますが、中学校に入学する前に、車に轢かれた後、祖母がさっさと埋めてしまったのでお別れは出来ませんでした。朝の連続テレビ小説で『あぐり』が放送されていた頃に貰ってきた、犬のあまりは、そろそろ老いてきました。小学生の頃、祖母の家に遊びに行っていた私は、仕事に出かけた叔父の部屋に忍び込んで、スーパーファミコンで遊んでいましたが、朝からぶっ通しで遊んでいる内、いつしか眠りこけていました。夢うつつの状態で、私は、大人の男たちの話し声を聞きました。祖父は亡くなっており、叔父が帰ってこなければ、この家に男はいません。私は目を覚まそうとしましたが、そのときざらついた舌で頬を撫でられました。ミミです。ミミが舐めてくるのは珍しく、その感触を、もっと味わいたいと、私は寝ている振りを続け、そのまま再び深い眠りに落ちていました。寝ていたお陰で、私は空き巣と鉢合わせなかったのですが、ミミの死に目にはあえませんでした。