目が覚めると、僕は素っ裸で冷たい床の上にいた。どうしてこんなところにいるのか、さっぱり記憶がない。
大声で叫んでも、壁を殴り回っても、どこからも何の反応もない。声が枯れて、拳が腫れて、へとへとになって座り込んだ頃に、やっと上方の小さな丸い天窓が開いて、そこから声が降ってきた。
「お待たせー、キミの夢を叶えてあげるー」
直後、轟音を立てて水がなだれ落ちてくる。僕はありったけの体力をかき集め、慌てて壁に張りついたけど、飛沫はざんぶりとかかる。
これは水じゃない。焼酎だ。
「えー、なんでそんなに嫌がるのかなー。ゆうべ、居酒屋さんで『酒のプールで溺れてみたい』って言ってたのにー。それが現実化してるのに、嬉しくないの?」
酔っぱらいの冗談を本気に取るな。
そう抗議したいのに、出る言葉は掠れて声にならない。
ガラス瓶の中に、逃げ場はない。