【鴬谷のラブホテル】(第三十九夜)

 鶯谷のラブホテルで午前三時に目が覚めたら、口は鉄の味しかしない。ベッドの隣には昨夜秋葉原でひっかけた女が俯せに寝ていた。ベッド右脇に落ちていたガウンを羽織り洗面所に立って飲用水の蛇口から直に水を飲み渇きを凌いだ。
ベッドに戻り枕元のマッカランを三口呷ると陰茎がすっくと勃った。隣で寝ている女の尻をなで回す。整体院チェーンの事務職をしている二十八歳の尻には黒ずんだブツブツの吹出物が多い。
「なにしてんの」
「もう一回」
「できるの?」
「たぶん」
 もう一回することになった。午前三時半だった。寝ぼけ眼の女が俺の腰の上でジョッキーのように踊る。ふと気付いてベッド左脇の壁一面に張られた大鏡を見た。
 そこには仰向けになった裸の俺がいた。そして腰の上には緑色のでかい鳥が翼を半開きにして上下に揺れている。
 慌てて大鏡から目を逸らし自分の下半身を見た。俺の脚の方を見て女がしゃがみ汚い臀を上下させている。やはり人間の女だ。安心した。寝ぼけているのだと思った。酔っているのかもしれないと疑った。でも再び大鏡を見ると緑の怪鳥が突き上げられている。
「えっ」
 声をあげてまた下半身を見ると緑色の鳥類がこちらを見てM字開脚。