第三十夜

「ごめんね、びっくりしただろう。君が俺のことを好きって言ってくれたこと、疑ってたわけじゃないんだ。もちろん、俺も君のことが大好きだよ。でもね、だからこそ、確かめずにはいられなかったんだ。君が、俺の前から突然いなくならないってこと。いきなりこんなこと言ったら、君は嫌がるかもしれないけど、昔、好きだった子がいてね。何事もなければ、俺はきっとその子と一緒になっていたと思う。だけど、その子は突然死んじゃった。最後に見た瞬間までいつも通りだったのに、全身からすっかり血を失って、からからに干からびて死んでたんだ。その子が、俺の大切な人だって、一目ではわからないほどだった。誰が、どうやって? そんなの俺にはわからない。どんなに調べてもわからなかったんだ。だから、今、誰よりも大切な君とだけは、そんな別れ方をしたくないんだ。せめて一緒にいる間は、君にきちんと血が流れてるんだって、からからになって死んだりしないって、確かめたかったんだよ。怖い思いをさせて、本当にごめんね。……どうして、返事をしてくれないんだい?」