【わたしのプレゼント】(第二十六夜)

 家にサンタがやって来た。
 サンタというには若い。つけ髭とわかる白い髭を揺らし、サンタは提げた袋からプレゼントを取り出す。
「メリークリスマス」
 受け取るやいなや、少女は包装紙を破いた。
「きみのパパからだよ」
 彼女はサンタがケーキ屋の店主だと知っている。毎年ケーキの配達と一緒に、プレゼントの宅配も請け負っていることも。
「それじゃ、サンタさんはもう行くね」
 玄関先、サンタが背を向けると同時に箱は開いた。
 軽い箱の中身を確認した少女は、サンタが出て行く前に、とすばやく動いた。
「え」
 うすうす勘づいていたが、少女はさっきまで知らなかった。
 箱のなか、父の字で書かれたメモを見るまでは知らなかった。
 両手でにぎった包丁は、サンタの背中に深々と刺さっている。
『このひとはママの浮気相手だよ』
 メモと一緒に入っていた包丁。使い方は書いていない。それでもすぐわかった。
「メリークリスマス」
 崩れ落ちるサンタに、少女はほほえみかける。
 サンタをこらしめるのが、少女からパパへのプレゼントになった。
「ママをどうしようかな」
 包丁を抜き取り、少女は楽しげにつぶやいた。