【インターホン】(第二十一夜)

中学生のときに、学校の授業でインターホンを作った。確か技術の授業だったと思う。作ったとは言ってもパーツを組み合わせて配線をはんだ付けするだけの簡単なものだった。けれど機械の類が好きだった僕は、完成したそれを大喜びで持ち帰り両親に自慢した。そして二階の自室と一階の台所に設置して、朝起きるときや夕飯のときは必ずそれを使って呼んでもらっていたんだ。両親もよく付き合ってくれてたと思うよ。ある日の朝、いつもみたいにインターホンが鳴って起こされた。受話器をとると珍しく無言で、そのときは特に気にせず眠い目を擦りながら階段を降りた。台所にいつもならいるはずの母親の姿はなく、部屋が真っ暗なことに気付いたんだ。おかしいなと思って電気をつけてみると、時計は夜中の三時過ぎを指していた。もちろん一階の家族は皆寝てる。急に恐ろしくなって電気も消さずあわてて自分の部屋に戻った。いったい誰がこんな時間にインターホンを、そんなことを想像して余計恐ろしくなり、結局は朝まで眠れずに過ごした――だけどそんなことはすっかり忘れていたな。もう十年以上前のことだ。なあ受話器の向こうの君、久し振りだし、君も少しは話してくれないかな。