【マンホール】(第十一夜)

 自宅に帰ったら、部屋の真ん中に見知らぬマンホールの穴が開いていた。どうも深いようだった。
 何かおかしいと思ってよく見たら、そこは自宅ではなかった。
 うちは501号室で、この部屋は401号室だった。エレベーターで、奇妙なおとこと一緒になった。一刻も早く彼が降りてくれないか、もしくは自分の階に着かないかと思っていたら、そのおとこは足を引きずりながら二階で降りた。それで気が抜けたので四階で降りてしまったということらしい。
 そこは他人の部屋だったので、焦って出て、自宅へ帰った。うちには穴があいてなくてよかった。
 しかし、どうしても気になったので、401号室に戻った。穴は移動していて、油断したぼくは穴に落ちた。
 落ちている途中で、おそらくこの部屋(もう‘この’じゃないが)の住人(そういえば見たことがある)が頭を半分食われた状態で引っかかっていた。その後、落ちながら世界で誰一人気づかなかった悪魔の手に引き裂かれ、ぼくは子を産み、マグマよりも熱いテディベアに腹を貫かれ、世界で一番高級な白菜にも笑われて、そこで会った自分自身と同時に首を傾げた。
そのあと唐突に息が切れた。