同じクラスのA君が幽霊を持ち帰ってきた、と誰も彼もが騒ぎ立てる。
話を聞くに、男子数人で肝試しに深夜の廃校舎に忍び込み、Aだけが偶然とも思えない不運に見舞われているという。
無垢故にオカルトを信じ、怪奇現象に怯え、心霊現象を遊び半分に捉える小学生のしっぺ返しといったところか。思い込みで小さなトラブルが呪いだとか思っていそうだけど。
おにぎりに中った、寝ているとき窓を叩く音がする、誰もいないのに階段から突き落とされて頬を怪我した、中履きの靴が片方だけなくなる、ノートが汚れた、自分の椅子が座った途端に大破した……後半はしょうもないいじめじゃないか。
しかしまぁ、外面だけはいい、いじめっこの彼にいじめをはたらく愚か者がいようか。
「あれ、Hちゃん顔色いいね。というか、ほっぺのケガ治ったんだ」
首肯。そういえば私は階段から突き落とされ――じゃなくて、ひとりでに落ちて頬に怪我をしてガーゼをずっと貼っていた。ずっとかゆくて、なかなか治らなかったのがつい昨日治ったのだ。
ところで。幽霊を持ち帰る愚か者がいるなら、その幽霊を置いてくるのは誰だろう?
おととい私も一人になりたくて廃校舎に行ったけど、何の呪いも受けていない。クラスメイトのいじめに耐えかねて廃校舎の一室にこもっていたけど……。
それはそうと。
私が嘔吐した恨みといたみを拾った愚か者は、だあれ?