【あの娘が光って見えた】(第十三夜)

 あの娘が光って見えた。昔からの、僕だけの秘密だ。きっとあの教室の中で、彼女の魅力に僕だけが気付いたのだと思う。俯きがちの瞳が凛と輝くさまについて、僕以外の奴が理解を示せるだなんて思えない。
 彼女は僕と同い年で、隣の家に住んでいた。僕たちは時間とともに少しずつ背が伸び、体つきも変わっていった。そのたびに彼女の瞳が、体が光を放っているように僕には見えた。
 そしてあの夏、僕らは体を重ねた。彼女の体は柔らかく芯から熱を放っていた。お互いの汗と体液が混じりあい、その境目が分からなくなりながらも、僕は彼女の瞳を見つめていた。あの光を眺めながら、この時間をすごしていたかった。閉じられていた瞳が少しずつ開かれ僕の視線と重なる。
 その瞳の中に、百万度を超える核融合反応があった。僕はその光に灼かれてしまう。体が炎に包まれていく。絶頂に達する前、彼女は頬を上気させながら泣きだしている。多幸感に包まれながら、どうか泣かないで、と声も出せずに僕は懇願する。光はこの大地を焼いてしまう。すべて消えてなくなり、この惑星は燃えてなくなる。宇宙の中で一人きりでこの娘は泣く。彼女が太陽だということに、気付いていたのは僕だけだ。
 あの娘はいつだって光って見えた。