#1
自動ドアが開くと、彼らが入って来た。カレシは腰にコルトの44口径にガバメント、左手にぶら下げてるのは銃身を切り詰めた鎮圧用のショット・ガンだ。いかにも道端でハイウェイ担当をカツアゲしたかのような格好は、レイバンにくわえ煙草である。フィルターの色からすると、ラッキー・ストライクだろうか。ユニオン・ジャックのタイトなTシャツにLee510の彼は、機嫌良く後ろから追い付くように入って来た娘の肩を抱く。
当然、ヴァージンの店員達は身を固くするが、それは演技だ。彼らはこの2人がここに来るまで何回キスしたのかモーテルでどんなふうにあいしあって、道端に停めていた間抜けなハイウェイパトロールをぶっ殺したのかさえ良く知っている。そう、これはシナリオ通りのこと。ここは天国。生まれつきの殺人者向きのね。
#2
「ドライブでかける向きの、ガンズとかストーンズが欲しいんだ。」
カレシがカウンターで照れ気味に切り出すのが初々しい。
「イーグルスはいかがですか?『ホテル・カリフォルニア』が、只今セール中です」
クラッシックだが悪くない提案だ。ハイウエイをぶっ飛ばす予定の彼らには。
#3
「持ち合わせはこれしかないんだ」と言いながら、カレシは22口径弾を3発、コイン・トレイへ並べる。カチリカチリカチリとそれは、跳ねながら綺麗にまとまる。
「レコード店は嫌いじゃないんだ。だからこれをお前にぶち込んでやるのさ」