第一夜【壁に耳あり、障子に目ありー】

一人の研修医が献体から切り取った耳を壁にくっつけて言った。他の二人がバカ笑いした。研修医が献体された遺体で遊ぶのはよくある事だった。
……タシノ……
「ん? 誰か何か言ったか?」
「いや?」
三人は顔を見合わせて首をふった。
……カラ、ダデ……
気づいた彼らは、ギョッとして凍りついた。遺体の口が動いて、そこから声が発されていたのだ。
……アソバナイデ、クダサイ……
「わああーーーっ!!!」
真っ青になって三人は、解剖室から我先に飛び出して行った。病院内を走り回った挙句、彼らは泡を吹いて卒倒した。
発狂してしまった三人は精神科の隔離病棟に入院したきりになった。