ピノキオの鏡(第九十二夜)

都市伝説のひとつ、夜中の二時に鏡を見ると……というやつを私は子供の頃にやってみたことがある。

私の家には、玄関入って右手に丸い鏡があった。そして左手には階段があり、階段を降りてくると、正面にその鏡があった。

私は夜中に起きて、鏡の前に立った。正確には、私は身長が低いので、二段か三段か、階段の上に立っていたと思う。

鏡に映ったのは私ではなく、ピノキオだった。ピノキオは魂の入ったしゃべる木製の人形だ。ピノキオの原作をご存知だろうか。実は死んでいたピノキオ。当時の私は知る由もなかった。

ピノキオは「やあ、こんばんは」と異様に明るく話しかけてくる。

「なぞなぞを出すよ。答えられたらいいものをあげる。答えられなかったら、君の大切なものをもらうよ」

問答無用だった。うろたえる間もなく、なぞなぞは出題された。

「きっても、きっても、きれないもの、なーんだ」

私はなぞなぞが苦手だった。何も思い浮かばず、答えられなくて、私は泣いていたと思う。

「時間切れー ざーんねーんでーしたっ」

ピノキオは引きつったような笑い声を残して消え、私は大切なものを失った。