Text-Revolutionsアンソロジー「再会」

arasuji

第二回Text-Revolutions参加の88名によるアンソロジー。
テーマ「再会」

笑ってしまうものから、涙を誘うもの。
コメディから、座布団一枚! な作品まで。
現代、ファンタジー、ホラー、何でもござれ。
テキレボのお供に是非!

sanka

kansou
『捧げものは全て』緑川かえで(黒の貝殻)
 第一回アンソロの彼らの別のお話!
 とろりとした闇が読む側までも取り込むような見事なダークファンタジー。
 それでも逃れられない彼らの。麻薬のような。

『再会して再開したら最下位にも届かなかった細話』こくまろ(漢字中央警備システム)
 どこまで創作? どこまでもリアル! そしてオチ。
 私のゲームへの情熱をかけた(正当から邪道まで)試行錯誤が心地よい。
 最後はついつい苦笑い。

『一期一会で終わらせない』たつみ暁(七月の樹懶)
 旅の途中の一行が立ち寄る旅籠での一コマ。
 本編はきっとしっかりしたファンタジー。番外編では少しばかり甘酸っぱいようなまだるっこしいような。二人の関係、気になります。

『マッチ』きと(be*be)
 同窓会での一コマ。ほんのりBL。にじみ出す気持ちがもどかしいような、切ないような。
 BLに限らず。ラブストーリー好き必見。

『おばあちゃんに会いに行きます』セリザワマユミ(トラブルメーカー)
 第一回アンソロで触れられた『お墓』の話!
 パワーストーンも不思議でしたが、お墓もこれまた。
 ぶっ壊されて、空墓でって、ほんとこれ、どこまで日常・実話ですか!?

『再会の金太郎』トオノキョウジ(クロヒス諸房)
 金太郎をモチーフにしているはずなのに、どこが金太郎!? なクロヒス節満点の一作。最後の最後、『終わり』じゃないんだ!? も、さすがです。

『硝子は飛べないから犬にはなれない』ハギワラシンジ(深海の記憶)
 タイトルまでキーになっていそうな不思議な印象を持った小説。
 僕と硝子。飛び立ち、消えて。楽園へ。
 何度も読み込みたくなる。その意味を、雰囲気を味わうために。

『雪、観覧車、珈琲』久地加夜子(ふぇにどら!!)
 少し切ない、冬の観覧車の物語。暖かいコーヒーの香りと共に、どうか、届きますように。

『たましいのゆくえ』まるた 曜子(博物館リュボーフィ)
 死んだばあちゃんに会う。そんなSFっぽい書き出しから始まる物語。
 展開に頷きつつ、主人公の思いに共感しつつ。気付いた実験の真意とは。
 読みごたえのある一作。

『明けない夜はない』 天海六花(アメシスト)
 リザードマンの里に迷い込み、奴隷として働くことになったわたし。
 異種ものファンタジー。前を向こうという気になる、温かさを抱かせる作品。

『アプリコットスピネル』藤和(インドの仕立て屋さん)
 欲しくてお金を貯めてようやく買ったアプリコットスピネル。
 石(半貴石)への想いと、石が持つかも知れない不思議な力と。
 良かったような、もやもやとするような、読後感を持つ作品。

『タイムカプセル』風城国子智(WindingWind)
 タイムカプセルを掘り返す。時代の流れの中で掘り返されることなく埋められたままの。
 思い出が返ってくる。取り残され続ける蘭の元へと。
 優しい温かさをもった、再会の物語。

『ずっと待ってる』瀬古冬樹(とーとくるす)
 海賊船の来港、昔なじみとの再会。再燃する恋心。
 欧風ファンタジーを背景にした、思わず顔がにやけてしまう正当派ラブストーリー。
 未来を思い浮かべます。

『君と『彼女』とひまわり畑』猫春(ばるけん)
 少しばかり切なさの混じる不思議な物語。
 フランスの彼らの日常が気負うことなくリアルに描かれ。
 ひまわり畑がとても印象的。謎は謎のままの結末も。

『ララバイ・ブルーの幻』落山羊(ヲンブルペコネ)
 母と私。かつて消えてしまったブルーという名の猫。葛藤と後悔と諦めと。
 想いは、静かな湖に生まれた波紋のように。
 白、青、藍。淡い色合いが印象に残る、静かな文学作品。

『ゆめまぼろしのごとく』濱澤更紗(R.B.SELECTION)
 鉄道擬人化小説! 鉄道の歴史を振り返りつつ、淡い想いが語られる。
 静岡西部に行くときには、思い出してみたいです。
 (ローカル線で行かなくては…)

『卵』海崎たま(チャボ文庫)
 貧しさ故に売られる定めにあった妹。妹が売られる前夜に、姿を消した兄。
 もっとも身近で、愛して、愛され、それ故に。
 二人きりの兄妹の、卵を介した物語。

『君と君と僕と俺との間』遠藤ヒツジ(羊網膜傾式会社)
 虚構なのか事実なのか、妄想なのか現実なのか。
 蘇ったミク、人々が蘇る映画、それを見続ける俺。
 俺の想いが願いがじんと心に染みる。

『出逢いと別れ、そして恩返し?』なな(7’s Library)
 突然赤ちゃんを押し付けられた冒険者らしき『僕』
 少しばかりコミカルな文章でテンポ良く進む、楽しい作品。
 ……何でこんな事に!?

『旅先での一度限りの出会い』高森純一郎
 若かりし頃の旅のエッセイ。
 出会い、感謝、後悔、信条。
 『出会った』だけで終わらないのが人生を豊かにするコツなのでしょうか。

『遺書』つんた(みずひきはえいとのっと)
 時間移民シリーズ。不思議な響きのあるシリーズ名です。
 トマスが訪れた小さな家に暮らす子供は、英国の……?
 歴史と想いが交錯する、興味深い作品。

『人差指』乃木口正(妄人社)
 押し切られた形で依頼した妻の殺人の犯人捜し。
 呼びつけられて出向いた先で結果を受け取る主人公。
 本格ミステリ。アンソロ短編でコレならば、長編が気になります。

『Still loving you. (会うつもりなんかなかった)』添嶋譲(言葉の工房)
 初恋と結果と社会人になった今。
 繊細な言葉で語られる自分と彼との物語。
 意図されただろう書いていない書き方は、さすが。

『再会小説『私の娘』』氷砂糖(cage)
 再会する物語。再会するための物語。再会し、そこから紡がれる物語。
 まだ生まれていない物語。
 4本の再会の物語。あなたはどんな言葉をつけるのでしょう。

『七瀬君とモテと非モテの研究』柳田のり子(柳屋文芸堂)
 はっ。七瀬君の物語ですね!?(※書いてる人は本編のファン)
 高校のクラスメイトの女の子の目線で語られる若かりし頃の七瀬。
 不器用さと、女の子達の姦しさ。テンポ良く進む微笑ましくも、ちょこっと切ない物語。

『春疾風、南より』凪野基(灰青)
 丁寧な描写と静かだけれど色彩豊かな文章で綴られる優しいファンタジー。
 再会を前にして恋心がほのかに浮かび上がる。
 新刊の番外編とのこと。本編が気になる。

『時告げ台の濡羽鴉』ろく(階亭)
 第一回アンソロに引き続き、『鵺が来たりて』の番外編。
 とろりと質量を持つかのような夜の狭間に沈む濃密なファンタジー。
 狂気との境目にとっぷりつかるにはもってこいの一作。

『ここから始まる』藍間真珠(藍色のモノローグ)
 技使いのテイットは武器屋で懐かしい面影に出会う。
 お馴染み、技使いたちの物語。テイットが出会ったのは、もしや、あの?
 心当たりのある人は必見。ない人も、テイットの一歩。そのための覚悟に注目。

『死神』雨宮小夜(色漆)
 まるで詩であるかのような小説。
 粘度を持つかのような文章の中で。美しく妖しく、私を捉えて離さない。
 そんな雰囲気を持つ物語。

『八月七日の夜に』汐江アコ(まりあ骨董)
 爽やかな青春ラブストーリー。
 七夕の夜の出来事は、奇蹟か、成就か。そして行方は。
 思わず微笑んでしまう先輩と私の物語。

『カラフルクッキー☆スーパーイリュージョン』ひざのうらはやお(そりゃたいへんだ。)
 放送生番組、『カラフルクッキー☆スーパーイリュージョン』をそのまま収録してしまったようですw
 サークル合同誌はこんなショートストーリー満載なのでしょうか。
 アップテンポで楽しい生放送を是非。

『彩会』紗那教授(教授会)
 これ、うまい。たのしい。面白い。
 仕事に疲れながらもやりがいを感じる真宏の日常の物語、だが。
 感想が書けない。これ以上書いてはいけない。是非読んで確かめて欲しい。

『おしゃべりな女の子』瑞穂檀(チューリップ庵)
 本当はおしゃべりな女の子の人形、マリコ。でも、人形だから話せない。
 マリコはちょっとおしゃまで気分屋で。一喜一憂が何ともかわいらしい。
 少し切ない、現代ファンタジー。

『繰り返すは安易な終わりの類型』空想金魚鉢(MATH-GAME)
 SFともファンタジーともつかない。兵器の少女と研究者の物語。
 少女の願いは純粋で。純粋であるからこそ、悲しい。 
 『神様って信じてますか?』

『百年目の再会』野間みつね(千美生の里)
 しっかりした世界観のSF。不老となってしまった俺が再会するのは。
 シリーズの書き下ろしとのこと。この世界で俺はどんな活躍をするのだろう。

『つがい』篠崎琴子(てまり舎)
 古代和風、対の双子の物語。婚礼が決まったわたし。皇子に使える双子の陸弥。
 喜びの再会と、そして、皇子の元へと帰って行く陸弥。
 切ない余韻漂う作品。

『はい、題名は、「再会」にしようと思っています、これがその』Pさん(崩れる本棚)
 徒然なるままにを地で行くような(おそらく)即興。
 話の飛び方、時折妙に深くなる様。話題は飛びがちだが、そこもなかなか面白い。

『嘘と箱』南風野さきは(片足靴屋/Sheagh sidhe)
 嘘をついてもよい日。早めの昼食で出会った幼子との会話。
 これと言った不思議はなくともファンタジーを感じた。
 読み終わってみれば、明るい笑いが作品に満ちているよう。

『夏風の向こうに』青銭兵六(POINT-ZERO)
 帰郷。都会に負けて、田舎へ帰る僕の道中。
 少しばかり寂しいような、けれど、確かに僕の中にも光がある。
 『解っているさ』

『自然光の貴婦人』森村直也(HPJ 製作工房)
 これ書いてる人なのでSKIP

『Re-Union In The Sky』綾瀬翔(skyparametric)
 シリアスなスカイアクション。ハードボイルドな文体は素直にカッコイイ。
 高い空の突き抜けるような色が印象的な、じんわりと胸に来る作品。

『勿忘草 ~My good old sound~』蒼井 彩夏(風花の夢)
 第一回アンソロに引き続き、魔女・ソフィアの物語。
 優しい音を取り戻したい。ランの願いは叶うのか。
 前を向き突き進むからこそ、結末に涙が零れる。

『平和なら笑っていられる今宵なら六等星も綺麗に見える』笠原小百合
 月のない夜に紡がれる青春ストーリー、と言うほど、熱血でもなく、ラブストーリーと言うほど、くすぐったくもない。
 触れば壊れてしまいそうな硝子を思わせる二人の関係。密やかな会話。
 波の音が聞こえてきそうな静かな物語。

『土中からの色』江間アキヒメ(『日本史D』編纂部)
 ヒストリックホラーという表現で合っているだろうか。
 鎌倉の世。妻の不義密通の疑いに足利庄へ戻る義兼。妻は怪異に襲われており。
 重厚なホラー感、そして諦念とも幸福感ともつかない、結末。

『僕の上司と先輩』真乃晴花(Natural maker)
 第一回アンソロから引き続きの真面目天使ハーリィ。
 副長官に振り回されてついつい愚痴がこぼれます。
 読んでるだけでも大変さがうかがえて…。がんばれ、ハーリィ!

『遠き日に、白はいざなう』耀華(旅人たちの紡歌)
 抗いようのない運命としか言えない別れ。受け入れられないウェルバーニアは必死の思いで会いに行く。
 二人の最初の別れとこれからを予感させる、剣と魔法のファンタジー。

『ある画家、あるいは精神の渇き』山本ハイジ(ikuraotome 出版)
 別れた妻を描いた作品を書き上げ、『死んでしまった』と自らを評する画家。
 創造すること評価されること求めるもの。
 創作をする者なら誰でも向き合う闇と飢えと欲望。
 息を止めそうになりながら読んだ。

『恩返し』高柳寛(KK FACTORY)
 初っ端から目が点。言葉遊びを織り交ぜながらの軽快な文章。
 目を点にしたまま、結末まで。
 読み終わっても、点なまま。うん、なんだろう。面白い。

『のぼりさか』ゆみみゆ(愛的財産)
 あの日に戻れたら。幼なじみの雪と翔。過去へ行けるという伝説をすがりつくように信じる雪は翔を伴い、鉢山へ向かう。
 上りきったら何がみえるのか。二人の青春ストーリー。

『小さな食堂にて』藤堂美香(白玉)
 定めをもつ少女を求めた常葉と立ち去った少女。
 人と人でないものが入り混じる不思議な街での、爽やかなラブストーリー。
 ちょっと迷惑な幼なじみも、迷惑をかけられるもう一人の幼なじみも、色を添えます。

『春の灰』望月あん(border-SKY)
 死んでしまった兄。悲しみから抜け出しきれないぼくと、ねえさん。
 桜の桜の花びらと厚く積もる灰のイメージ。
 ここから先の仄暗い熱を思わせるような。

『そこに在った風景』谷町悠之介(ナキムシケンシ)
 MMOで待ち続ける。噂になっても、曝されても。
 ネット世界の繋がりはアクセスしないだけで簡単に消えてしまう。
 待ち続ける意味。理由。見つけた風景。

『太陽になんてなれなくても』前転リネン(リンネルフランネル)
 兄の離婚。離婚相手は弟・二星の元同級生。
 動揺を抑えつつ、趣味に没頭しようとする二星。再会は。
 複雑な想いを抱きながら進む物語。結末は。

『奇譚・夢守人黒姫 再会の桜』服部匠(またまたご冗談を!)
 夢を巡るアクションファンタジー。夢守人黒姫シリーズのワンエピソード。
 4000字の制限の中で、アクションまでしっかり盛り込んで読みごたえ満点。
 本編を知る人も知らない人も必見。

『秋子さん』にゃんしー(おとそ大学パブリッシング)
 子供と大人狭間に揺れる少女の頃の私とそして秋子さん。
 一つ一つの言葉が美しく、一つ一つの情景が丁寧に描かれているのがなんとも印象的な作品。

『美少年興信所~語りかける我ら・抄~』鳴原あきら(恋人と時限爆弾)
 知恵蔵が心に思う友人、満潮音と再会する物語。
 レトロと言うには新しく、現代と言うには少しばかり古い時代の香りが満ちている、
 淡々としながら、どこか熱の置き場を探すような物語。

『まほろば町保育園』アヤキリュウ(ここち亭)
 保育士である僕、ダイチ。と古いウサギのぬいぐるみを離さないチサちゃん。バイバイの意味。
 微笑ましく見守る気持ちで迎えた結末。いつかの再会。
 せつない。

『かぼちゃのタルト』青波零也(シアワセモノマニア)
 『甘味組曲』の名の下に、タルトも関係も甘くて美味しそうなわけです!
 本編も糖度高いし! ラブストーリーをお求めのあなたに、是非。

『ナイス・トゥー・ミー・チュー』ムライ タケ(そりゃたいへんだ。)
 私が死んでしまった冒頭。一人だけ挨拶できると言われて、選んだのは。
 後悔というほど強い感情でもなく、納得しているわけでもない。
 例え何も変わらなくとも、次こそはと。少しだけ、顔を上げたくなるような作品。

『あの時負けた』迫田啓伸(侍カリュウ研究所)
 高校野球。真夏のような選抜を終え、夏。悔しさと、情熱。ライバルとの再会。
 確かな文章で綴られるゲーム。エースである神楽の気持ちがダイレクトに伝わってくる。
 熱い夏の物語。

『再会』庭鳥(庭鳥草紙)
 お。なんて素敵にジャパネスクの二次作品でしょうか。
 少女小説らしい軽快な文章で綴られる女性たちの会話は近況から恋バナまで……!
 懐かしさと楽しさを滲ませた物語。

『医者は白衣を着ていた(『零点振動』番外編)』宇野寧湖(ヤミークラブ)
 かつての同僚であり、自分を庇って辞めさせてしまった精神科医に対面する女性刑事、羽鳥。
 再会した医者を前に平静を保てないのは、トラウマか、それとも……?
 ハードボイルドな文体で展開される一コマ。コレは本編もきっとカッコイイ。

『三日月の夜に。』伊織(兎角毒苺團)
 猫又やら不明生命体やら日常に溶け込むかのようにふるまうぼく。
 日常にさらりと溶け込むファンタジーは、再会と共に意外な結末へ。
 さらりとしすぎていて、つい笑みが浮かぶ、そんな作品。

『薔薇が運んだ幸運』kiyonya(招福来猫)
 人魚の国。その響きだけでも本編が気になります。
 薔薇を介したふとした出会い、そして再会。
 未来を予感させる、中世風ファンタジー。

『ご冗談でしょう、ラインズマンさん』わたりさえこ(ナタリー)
 再会バトルロイヤル、と言葉が浮かんでみました。
 「ご冗談でしょう!?」と読む方も叫びたくなるシチュエーション。
 そこからの結末は『こうきたか!』の一言です。

『明日また再会しよう』姫神雛稀(春夏冬)
 パーティで探した同僚。再会した『可愛い君』
 数え切れない人が行き交う中で少しばかり甘酸っぱい、『君』に再会する物語。
 ちょいと変わった社長も気になりますな!

『300 字SS』桂瀬衣緒(SiestaWeb)
 文字書きメインの桂瀬さん、イラスト・漫画・SS描きの烏楽さんの二人が織りなす
 急転直感の300字SS、5本。
 どれも「くすりっ」やら「なにぃ!?」やら「(涙)」やら。
 まんべんなく彩られてますw

『オパールグリーンの、たちまち』月洛(un-protocol net)
 記憶の途切れのその前は、連続した世界でしょうか?
 猫でない猫と過ごす数日。夢の途中のような日々。
 思わず自分を振り返ってしまう作品。

『迷子と精霊』せらひかり(hs*創作おうこく。)
 なんだか強そうなメリンダと魔術を使う訳ありの子供ベリル。
 ベリルの訳ありも気になるし、メリンダはとにかく派手ww
 この二人の活躍する本編が気になる。

『ふたたび、学び舎で。』呉葉(えすたし庵)
 娼館の街に生まれたエマ。将来すらも決められた中での出会い。そして。
 中世風の世界の中、未来を信じるエマがキラキラ眩しい。
 彼らに続く世代の本編も楽しみ。

『熱煽る風』水城翼(葱文庫)
 幼なじみからの電話。タイムカプセルを掘り返すことに。
 大人になりかけた僕らの青春物語。
 最後はほろりと。自分自身を振り返った。

『いたいけなぼくとおねえちゃんのおゆうぎ』世津路 章(グルメアンソロ(仮)とこんぽた。)
 色とりどりのテイストを誇るこんぽた。さん。今回は劇薬Ver。
 社会に出て躓いた『彼女』と、ぼく。
 最初から最後まで。過去から今まで。ぼくとおねえちゃんのおゆうぎは。
 ナイス劇薬(ぞくぞく)

『百万回のおはよう』八坂はるの(てまり舎)
 虫のような体質の同級生で腐れ縁、ゆする。
 ゆするへ「おはおう」を言い続けるふさこ。
 おはようと言い続ける、こんな関係も、いい。
 現代ファンタジー。

『電波の届かない街』かわいたかき(砂色オルゴール)
 つい20年前はPHSが全盛。25年も遡ればポケベルすら。
 携帯電話があることに普通になってしまった今。届かないとは。
 すこしばかりどきりとする作品。

『二回目の再会』高麗楼(鶏林書笈)
 19世紀初頭の朝鮮、戦前の朝鮮と日本。時代を超える書物に纏わる物語。
 歴史物になるのだろう。重厚な背景が、読みやすい文体で綴られる。
 結末には、思わず涙を誘われた。

『あいをこめる』小高まあな(人生は緑色)
 アクセサリー作品へのアイって何でしょう?
 ちょっと複雑な人間関係も垣間見える(おそらく)番外編。
 柚香の切実な想いが胸に来る。

『ゆめの境界線』ほた(月兎柑。)
 戦争が終結した後。前世の記憶を持って生まれてくる子供達。 
 SFともファンタジーともつかない物語。
 涙と共に始まった物語のその結末にほっとした。

『ラジオと青年』行木しずく(空涙製作所)
 少しばかりノスタルジックな香りのするファンタジー。
 蛍石ラジオから聞こえる声を楽しみにしていたあの頃。
 ほっと一息付きながら、懐かしい声との再会を願います。

『いちばん長い、あの夏の日のこと』堺屋皆人(S.Y.S.文学分室)
 戦争末期。心を置いてきてしまった男と、同じ境遇と思われるもう一人の男。
 再三の出会い。結末は。
 たぶん、きっと、--だろうと。すると、あの男は……。
 短い中に込められた謎の意味での、ミステリー。

『日差しに融ける』小野秋隆(蕪研究所)
 アスファルトに融けて消えてしまった幼なじみ。
 少女の憧れと、結果。
 アスファルトに漂う陽炎を写し取ったような。
 夏の暑さと少しばかり寂しさ漂う物語。

『彼女の世界は壊れた時計』なんしい(押入れの住人たち)
 妖怪も不老不死も企業戦士も喫茶店も存在する世界。
 不思議な世界が自然に描かれ、ついつい、そんなものかと読み進める。
 数年ぶりの彼女。次に会うのは? いや、前回会ったのは?

『終わらない晩餐、進む秒針』とや(さらてり)
 仕事の電話と突然帰ってきた彼女。ご機嫌な彼女と
 なめらかに留まることなく回り続ける秒針。俺と彼女の選択。
 ハードボイルドチックに淡々と進む物語がカッコイイ。

『さねかずら』かなた(そりゃたいへんだ。)
 静かな物語と思った。 
 畳みの鳴る音、ラムネの瓶の涼やかな音、かつて会った子供の声。そして、祖父から受け継いださねかずら。
 少し不思議でどこか暖かみを残す物語。

『午後十時』緋臥 灼(春夏冬)
 二時間の戦いの記録(嘘)
 多くは語るまい。
 華麗なる××。コレは是非読んで欲しい(笑)

『星の彼方より』轂 冴凪(うずらやの小金目倉庫)
 SFとラーメンスープの香り漂うアナログ感が妙にマッチした作品。
 待つ側の、待つしかない焦燥がじんわりと感じられ。
 最後の一文にほろりときました。

『昼の相席』斉藤ハゼ(やまいぬワークス)
 第一回アンソロに引き続き、あの日を思う物語。
 忙しい日常で、ぽろりぽろりと見落としていたもの。
 少しばかり置いて行かれたような気持ち。
 ノンアルビールの苦さが引き立つような。

『小さな喫茶店での奇跡』色水良子(春夏冬)
 良縁を求めるのは結婚を考える誰しもが思う事。
 小さな喫茶店での相手探しのエピソード。
 ラストは思わずにんまりと。

『二十年ぶりの再会』小稲荷一照(かんだ紅茶倶楽部)
 味に対する考察から始まる紅茶愛に溢れた一作。
 これってあれ? それ、いいの? 紅茶好きすぎで周り見てなくね?
 と突っ込みながら、最後まで。
 ……紅茶、飲みたくなりました。

4000字というのは一息に読み切れて、だけど物語もしっかり組まないと行けない分量。
ファンタジー、SF、時代、恋愛、ハードボイルド、アクション……。
スタイルもカラーもバラバラの88作。
目についたものだけでも、是非!

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発行:Text-Revolutions
判型:A5  480P
頒布価格:1000円
サイト:Text-Revolutions
レビュワー:森村直也

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