2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月14日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 幻の花 ~絶界の魔王城《ザタナシュロス》外伝 絶界に花は咲かない。 ラウミィ・キュアンスウィリーがその土地を訪れたのは、物心ついて間もなくだった。 大陸の西端。首都から幾日馬車に揺られて来たことか。退屈はたびたび限度を超え、お気に入りのクッションはすっかりくた […]
2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月15日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 『ミディアミルド物語』外伝「その佳き日まで」第五章「ほうれんそうのポロル」 抄 【此処に至るまでのあらまし】 女性との艶聞えんぶんがなかなか絶えない辺りから“ノーラ家の不良息子”とも呼ばれる“マーナ随一の剣士リラニー”近衛副長ノーマン・ノーラは、さる騒動が原因となり、上官ナカラ・マーラル近衛隊長の娘 […]
2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月14日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 これも神戸がはじまり 僕の師匠、神戸専門アーティストの凪汐緯しおいには、神戸市内各所を定期的に撮影するための巡回リストがある。 このリストに上がっているスポットの数が尋常でなく多い上それぞれ頻度が違うため、スケジュールにはめ込む難易度はか […]
2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月14日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 桜ちゅんちゃん、花ラッパ 寒空の下、公園で佇む。 かさり、音がした。枯葉が動き、ちょこんと姿を表した。 ふくら雀。それも一羽だけじゃない。たくさんいる。落葉にまぎれて、全体で何羽いるのかはわからない。 頭の茶色は、私の髪色に似ている。白い首巻 […]
2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月14日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 花葬送 その国では、悪逆非道の国王と、その娘と息子が暴虐の限りを尽くしていたという。 国は疲弊し、滅びを待つばかりであったが、しかしその悪事は神々に知られることとなる。 彼らは神々の怒りによって、娘は自らその命を絶ち、そして王と […]
2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月14日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 つぼみにくちづけ リブロマギアでは、バラの花が育たない。明確な原因はわからないが、それは一種の呪いだと言われていた。 曰く、かつて魔女と呼ばれた王女が、恋人を喪った悲しみから呪ったとか。曰く、冤罪で処刑された宮廷魔術師が呪いのバラを生 […]
2019年2月15日 / 最終更新日時 : 2019年2月14日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 真心のカクテル 「……なんですか、それ」 努めて冷静に、私は彼女に尋ねた。バーの薄明かりのもとでもはっきりうかがえる、彼女の唇の端に浮かんだ赤紫色の痣を指して。 どういう状況でついた傷なのか見当はついていた。だからこそ私は怒りに震え […]
2019年2月14日 / 最終更新日時 : 2019年2月13日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 しろがねのひめ 『薔薇園』は、バス停から三十分歩いたところにある。 山を下る道の途中、錆び付いてぼろぼろになったバス停の前には民家が二つあるだけだ。ちかちか、じりじり鳴く街灯がひとつ。降りるのはいつもアタシひとりだった。 民家も道 […]
2019年2月14日 / 最終更新日時 : 2019年2月13日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 ルリトウワタとブルースターの彼 水仕事をしているせいだと、目の前の男性患者は説明した。 「商店街の花屋で働いています。冬は水が冷たいのと、草花のアレルギーがあって。ルリトウワタって、わかりますか?」 「さあ。花にはあまり詳しくなくって。お薬、塗ります […]
2019年2月14日 / 最終更新日時 : 2019年2月13日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 花は軌道に消える (※この話は史実を参考にしたフィクションです) 戦後七十年以上が過ぎ、従軍経験のあった人々の殆どが鬼籍に入ってしまった。 従軍した当時の大人ではなく、我々が戦争の惨禍の中で、流され、苦しむしか無かった子どもたちにヒアリ […]