EDまで病むんじゃない2


期末試験直前、愛の逃避行を遂げ失踪した前担任に変わり、主人公の根岸たちのクラスに美貌の女教師がやってきた。
ある日、その女教師から根岸にゲームのアドバイザーをして欲しいという依頼がくるが・・・。
(創作文芸見本誌会場 Happy Readingより転載)

sanka

ゲーマーでなくてもおそらく不条理っぷりに引きつった笑いを浮かべ、ゲーマーなら尚更そのゲーマーとしてのカルマに頭を抱える、そんなゲームにまつわるコメディの第二巻です。
もちろん、前回に引き続き新旧ゲームのパロディ小ネタも満載です。
今回も本文に出てきた用語や台詞のネタ解説リストがついてまいりました。このリストを小説と並べて読むのが前回からの楽しみであります。知っていれば「やっぱり」とニヤリとし、知らなくても「こんなのもあるのか」とニヤリとせずにはいられません。
ひとまず私は「俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇっ!!」にむせました。そこでその台詞は卑怯だと思います。

さて、ストーリーですが、前回もまあ酷かったのですが、今回はある意味それに輪をかけて酷いことになっております。
この話に関しては「酷い」は褒め言葉であると信じてやみません。
初っ端から怪しいにもほどがあるレースゲームとシューティングゲームが登場。
そして、メインを張るのは何故かシ○シティ然とした恋愛シミュレーションゲーム。
しかも恋愛ものなのに対戦モードがありまして、今回はその「対戦」が最大の見所となります。
相変わらずゲーム内のヒロインが最低です。ヒロインとして最低というより、そもそも人としてクズです。巫女ってこういう職業でしたっけ。
しかし、何故かそんなヒロインを落とすゲームにはまってしまった新担任(いい女)に、ゲームの腕を貸してくれと頼まれ、ほいほいついて行ってしまった主人公ネッキー。
そりゃあ、ろくなことになるはずがありません。そしてこの先生も大概最低です。
それでも、付き合っちゃう(というか付き合わざるを得なくなる)のが我らがネッキー。
ゲーマーとしての勘をフル動員しながら、先生という名のダメ人間と共に、思わぬ対戦相手との戦いに挑みます。
クソゲーであることは間違いないのですが、しかし見ているうちに「あれ、これは面白そう」、と思えてしまう辺りが凄いです。
最後には微妙に感動してしまうシーンが待っているあたりもまた……。
しかしそのゲームをプレイした先に待っているものを考えると、遠い目をしてしまいます。
どうしてあんなゲームをプレイしてしまうのでしょう。わかりません。わかりません。
しかしそれが、ゲーマーの性、ってやつなのかもしれません。こわい。

相変わらずの悪意の塊っぷりに、思い切り笑わせていただきました!
とりあえずヒールマンは許しませんよ。


発行:漢字中央警備システム
判型:文庫 170P
頒布価格:300円
サイト:漢字中央警備システム

レビュワー:青波零也

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