後輩書記とセンパイ会計、不浄の美脚に挑む(1)


開架中学一年、生徒会所属、有能なる書記のふみちゃんは、時代が違えば歴史上の文化人たちと肩を並べるほどの人物だっただろう。そんな彼女を見守る、不思議な現象は全く見えないがメガネがチャームポイントの理系センパイ会計・数井くんを主人公に、ふみちゃんと舞い踊る花柄しおりと生徒会メンバーが巻き込まれた不思議な現象・妖怪譚をほのぼのとした筆致でおくるゆるふわ妖怪小説。同じく妖怪を題材にした短編も収録。

sanka

サークル・眠る犬小屋さんの人気シリーズ。題材が題材なのでこのカテゴリにしましたが、「ゆるふわ」と銘打っているし、表紙や挿絵など可愛らしい絵柄なので単純にライトノベルとも言えるかも。
自分も妖怪はほぼ全く知らないけど(せいぜい京極夏彦を読んでるくらいです)でも具体的な妖怪名が出てくるわけでもなく、彼らの持ちこんでくる厄介事をどう数井くんとふみちゃんが解決するか、といったことに主題がおかれるので全然問題ナシと言う感じ。ふみちゃんが可愛いので一度漫画でも読んでみたいです!
「変身バンク」ならぬ「文章表現バンク」というものがありますが冒頭・真ん中・末尾に置かれる、必ず決まって繰り返される文章の定型が面白い。次の話はどう変えてくるだろう? と読む楽しみがあります。一体数井くんは何本メガネを持っているんだろう…とかいらぬ心配もしてしまいました(笑) メガネってそう簡単に買えるもんでもないよね。

実は個人的には表題作より同時収録されている「恋するあかなめ」が好きでした。深夜のスポーツジムで、太っている主人公の汗を舐める少女だなんて……不可解ながらもそのエロチックさがたまりません。稚由美は妖怪「あかなめ」なのか? と思わせておいて妖怪が一切出てこないところも良いです。


発行:眠る犬小屋
判型:A5 80p 
頒布価格:500円
サイト:後輩書記シリーズ公式サイト

レビュワー:おきあたまき

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