Extra Children-二人の一歩


 時は現代・日本。
 異能力を持った人間……通称「EAP」が存在する世界。
 EAP犯罪を取り締まる「特殊警察課」……通称「Ts」には、様々な能力と葛藤を抱えた、最強の少年少女たちが捜査官として所属していた。

 Ts捜査官候補の少女・心通子は、トレーニングに根を詰める相棒の少年・獣虎鷹一を心配し、町に連れ出した。
 通子は捜査官審査を前に、己の能力に不安を持つ、鷹一の気持ちを知る。
 ひと時の休息を過ごす通子の前に、謎の男が現れて……。

 異能を持った少女と少年の、心を通わせるまでの物語。
(※サークルサイト様紹介文より転載)

sanka

異能力者EAPである少年少女の物語。
EAP犯罪に対抗する《特殊警察課》の捜査官になるべく訓練を重ねる心 通子ちゃんと獣虎 鷹一くんが、コンビとして心を通わす丁寧な描写が感動的です。涙なくして読めない…!

ヒロインの通子ちゃんがとてもいいです。祈りを届ける能力、というのは貴いものであると改めて思いました…自らの非力さに胸を痛めながら、それでも懸命に自分にできることをがんばる通子ちゃんの姿にじんときます。鷹一くんが焦って根詰めるのも、少年らしくほほえましくも切ない。

ふたりでお出かけするシーンもすてきでしたが、後半要になる心が通じ合う場面は、容赦なく胸にこみ上げてきます。また、闘いに赴くこどもたちを見ているだけでなく、寄り添おうとする大人が描かれているのも印象的でした。他にも気になるキャラクターもいますし、ぜひ《特殊警察課》に配属された彼や彼女の活躍も読みたいです。


発行:またまたご冗談を!
判型:文庫(A6) 76P
頒布価格:200円
サイト:またまたご冗談を!
レビュワー:世津路 章