淀んだ川で待っている
忘却にとらわれた娘は、流浪の旅のなか摩耗していっていた。
身を寄せた祈祷師のもと、彼女が決意することとは。
剣や魔法の出てこない、土着系ファンタジー中編です。
※創作文芸見本市場から転載
タイトルが暗い。そこから漂う不穏な空気。
ああ、バッドエンドだったら厭だな、でもタイトル素敵だな、と手に取った。
山場は2つある。
現在に繋がる男の末路と、過去に投げ捨ててきた縁の断末魔。どちらもリーリは酷く枯渇している。
それなのに足許をひたひたと流れる川。
静かで仄暗い、しかし乾いた感触に悲壮感は無く、
むしろエンドは薄明かりが灯っている。
いろいろなものを削ぎ落として、瞼の裏に灯火が残る、そんなお話でした。
作家さんは(同人は)ホラーメインのようで、他作は読んだことが無いのですが、こちらのテイストも増やしていただけるといいなーと思った次第です。
2014/11/23 COMITIA110購入
発行:下町飲酒会駄文支部
判型:文庫(A6) 52P
頒布価格:200円
サイト:駄文の王様
レビュワー:まるた 曜子