凱歌

arasuji
騎士である意味、力を持つ意味、剣を使う目的と手段──斜陽の国に生きる、騎士たちの物語。長編異世界FT、全編シリアス展開。(ペーパー紹介文より)

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あらすじに書かれている「長編」&「全編シリアス」に偽りなし。長編FT世界にどっぷり浸りたい方に是非お薦めしたい一冊です。

栄えある騎士の国イルナシオン。強い騎士、伝説の騎士、格好いい騎士、美しい騎士、貧しい騎士、優しい騎士、荒ぶる騎士、見習いの騎士、義憤に震える騎士…、男も女も、あらゆる騎士がいる。この世界の皆にそれぞれの立場があり、矜持があり、そして誰もが等しく現実と向き合わねばならない。

物語のどこを切り取ってみても、甘くはない現実がそこにある。でも、次々に現れては魅力的に描かれる登場人物たちと、無駄なく硬すぎない文体が、全編を通じてテンポの良い展開で読者を引き込んで離しません。このシリアスな世界を、最初の一歩から最後まで丁寧に導いてくれる──、読後はそんな印象がありました。

一番嬉しかったのは、「もうお話が終わってしまう」「もっとこの世界に浸っていたい」という寂しい想いを感じることなく、重厚な世界と物語をこころゆくまで堪能させてもらえたことです。こんなにお話が進んで登場人物が激動に巻き込まれたりしたのだからそろそろ物語は終わってしまう…そんなことはありません。あの彼は、この彼女は、その後どうなってしまうのだろう…それも十分書き綴られています。

最後に個人的な応援を。レグルスに、幸多かれ。

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発行:灰青
判型:A5 156P
頒布価格:800円
サイト:灰青
レビュワー:呉葉

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