飲食系アンソロジー なないろ世界の食歩記(2)

arasuji

美味しい物語、集めました――「食べ物・飲み物」に関する6つの掌編小説アンソロジー。
ファンタジーから現代コメディ、日常ミステリまで、貴方の空腹を満たす極上の物語を「いただきます!」
(主催サイトより)

※過去の感想はこちら
 なないろ世界の食歩記(たべあるき)

sanka

kansou

【うンまいジャムの、その半分】世津路 章 さん(こんぽた。) 
Twitterアカウント @compota_nomoo
 人生誰しも一度は直面しそうな、進路や将来のことに関する世津路式寓話。丁寧に語られる「魔女のジャム作り」そこから見えるのは、何事も一瞬にしては作られず、さまざまな思いや試行錯誤の末に結果があるのだということのようにも思えます。
 そして出来上がったジャムのおいしそうなこと! 主人公・クラリッサと共に味わってくださいませ。

【分かれ道はデミグラスソースを入れるか入れないか】柑橘 さん 
Twitterアカウント @kankitu0_hon
 料理男子ですよ奥さん。しかもツンツンのおかん系男子ですよ。それに対して組み合わされる腹ペコ系おばか男子。これって定職セット並みに定番じゃないかしら。
 小気味良い文章のリズム、短い中でも楽しいコメディー。鉄板レベルの美味さ。タイトルの意味も、最後まで読めば納得の一作。

【砂糖衣に包まれて】いぐあな さん(一服亭) 
Twitterアカウント @sou_igu
 冥界の神様・ウロボロス様と、死者となった少女のほろりと苦くて甘いファンタジー。
 いぐあなさんらしい、優しくも決して容赦しない運命のドラマだからこそ、ラストに胸締め付けられるのだと思います。
 ボンボン(砂糖菓子)とのリンクが本当に素敵な物語。

【幻獣料理のレシピ】森村直也 さん(HPJ製作工房) 
Twitterアカウント @hpjhal
 読んで爽快感のあるアクション×独特の「術式」(プログラミング言語かしら…?)×ファンタジーな逸品。
 個人的には独特の(これ、専門外でなんとなーく分かるくらい、だからなんでしょうね)術式に中二心がくすぐられます。
 そして出来上がったもの、私も食べてみたい。

【葉桜の頃、桜葉の味】堺屋皆人 さん(S.Y.S.文学分室) 
Twitterアカウント @minahiton
 和菓子屋を軸にした、惚れっぽいワトスン役男子と、安楽椅子系男子の日常ミステリ。
 読みやすい文体で語られる和菓子職人の小さな謎。ちょくちょく挿入される和菓子豆知識は、まるで店先にいるような臨場感。
 ぜひラストにご注目。

【表紙イラスト・各扉カット・飾り枠】岡亭みゆ さん(火色星) 
Twitterアカウント @miyu16tb
 この本のために、表紙はもちろん、各扉の料理イラストカットと、扉や目次等々、各所に使わせていただいた飾り枠のデザインをお願いしました。岡亭さんはカラーイラストと、フリーハンドで描かれる幾何学的な模様が特徴の描き手さんであり、それを文庫本にしてみたかった、という私の欲がありました。

 それぞれの書き手さんの個性が現れた掌編集になりました。取り扱いメニューもジャム、ガッツリ系夕食、お菓子、ジャーキー、和菓子、そして舞台もファンタジー、現代、コメディ、日常ミステリと幅広く、お好みの一作を見つけていただけたら、と思います。

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発行:またまたご冗談を!
判型:文庫(A6) 100P
頒布価格:200円
サイトまたまたご冗談を!
レビュワー:服部匠