時計うさぎの不在証明(2)

arasuji

とある失態により、本部から「特異点都市」待盾に異動となった女刑事・八束結は、初日から交通事故現場に佇む不気味な幽霊を目撃する。果たして単なる事故なのか? 八束が目撃した幽霊は実在するのか? ついでに目の前でテディベアを量産している強面の先輩刑事・南雲彰は、いつになったらやる気を出してくれるのか……!?
偽オカルト事件を専門に扱う「神秘対策係」の猪突猛進系お嬢・八束と怠惰極まりないおっさん・南雲が謎めく事件に挑む、ゆるふわなんちゃってミステリ。

(カバーあらすじより転載)

※過去の感想はこちら
 時計うさぎの不在証明

sanka

kansou

プロローグの、『なんか起こるぞ!?』というわくわく感が半端なかった。
事件が起きる、不穏な気配の雨。倒れる女の子。どうなるんだ、この子は何だ? そして出てくる妙な気配の男。
細かな数字、細かな描写は『もしかして?』を思わせる絶妙さ。
隅々まで丁寧に綴られた描写は見事。

裏表紙には『なんちゃってミステリ』とあるが、筋道はミステリ。そして事件解決を目指しつつ、それだけにはとらわれない登場人物たち。過去があり、現在があり、信念があり、サボりたいという思いがある。そして、これからを予感させる二人組は、それだけでも魅力的だ。
少しばかり不思議の多い街で、『不思議』で終わらせないためにいる。そういう彼らのスタンスも面白いし、大好物である。……読み終わり次第、同世界観の未読を引っ張り出した(笑)
飾りなく、面白かった。次巻以降も……ついのべの南雲&八束のじゃれ合いも楽しみ。

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発行:シアワセモノマニア
判型:文庫(A6) 184P
頒布価格:500円
サイトシアワセモノマニア
レビュワー:森村直也