アンソロジー「猫」-「或る黒猫裁判の速記録より」

arasuji

第3回Text-Revolutions 参加サークルさん有志によるテーマアンソロジーより
テーマは「猫」

学者と男の黒猫裁判。その内容とは。

※過去の感想はこちら
 Text-Revolutionsアンソロジー「猫」

kansou

 読んでいて途中まで、てっきり物語中で国や組織の陰謀が起こっていて、国や組織のトップの人たちがその件について密談や会議をしていて、その会話中に麻薬とか秘密の文書とかそういう重要で危険なものを、直接言わずコードネームみたいに「黒猫」と言ってるのかと思っていたので(会話中に登場する「黒猫」に関する語句や説明なども、もしも第三者や密通者などに会議や密談を盗聴されていたとしても、会話内容を解読できないように全て暗号化されていたり、ミスリードを誘っていたり、比喩表現なのだろうと思っていました)、P344最後から明かされたまさかのオチに吃驚しました!
 クロネコヤマトさん嫌いの佐川急便さん推しのおっさんだったとは。まさか、漂う陰謀的な雰囲気と反して、まさかそんな、凄く身近な話題というか……あっけない(!)からくりだったとは。国や組織の陰謀じゃなくて、すごく日本の身近なお届け物の話題だった…! と思って思わず笑いました! そして笑った後、しみじみと、そのおっさんにとっては「黒猫(ヤマト)」の件は、大真面目に国や組織の陰謀レベルの深刻さだったり、「黒猫」は危険なものへの比喩だったりするんだろうなとも思って。色んな陰謀とか、それが少し動けば世も動かす大悪事! というノリで話題されていることも、傍から見れば、えっそんなことで? ハァ、そうですか、ハァ。。。くらいのものなのかもなぁって思いました。私はおっさんを笑ったけど、笑えない。自戒も込めて、読み返しています。

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発行:Text-Revolution準備会
判型:A5 366P
頒布価格:1000円
サイトText-Revolution
レビュワー:納豆