arasuji

なあは、そんなにあたしのこと好き?
なんであのままじゃダメだったの?
あたしたち、しあわせだったよね?

兄に嫁いできた美人の義姉とその連れ子、なあ。
栗色の髪と灰の瞳の男の子は、一目で舞生の家族を魅了した。
家族経営のスーパーで、支え合いながら暮らしていた舞生は、
しかし、大学進学のための独立から歯車が狂い始める。

家族、惑う子供達、執着と恋。
願いと望みは重なる日がくるのだろうか―――

(Text-Revolutions3 Webカタログより転載)

kansou

生い立ちの中で、歪んでしまった8歳の少年「なあ」。14歳の「まお」は愛情を注いでまっとうな人間に育てようと奮闘する。だけど、彼の歪みの中に巻き込まれ、自分と向きうことになり……
まるたさんは、「かわいそうな子ども」が「かわいそうじゃない顔」で相手を丸呑みする勢いで愛を求め、それすら「かわいそう」だけど、ちゃんと生き抜く力を信じてるんだな、と……
「なあ」だけじゃなく「まお」も、十分に子どもだった。
すごく過酷で、性的虐待の現実に即した、ある意味、厳しい話ではあるんだけど、まるたさんの筆致はどこか優しくて救いがあって夢を見せてくれるところがある。小さな「こうあればいいのに」が積み重なって2人の話は出口がある。
救われる話を書くのは、救いがない現実を知ってるからだろうなあ、と思うのです。
読み終わったあと、表紙を見ると「このふたりの物語なのだなあ」としみじみ思いました。

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発行:博物館リュボーフィ
判型:A5 94P
頒布価格:500円
サイトときどきピスィモー
レビュワー:宇野寧湖