あかでんとてんはませんのえとせとら

arasuji

鉄道路線を人に見立て、その時々の時事ネタを大胆な解釈を持って物語として紡ぐ小品集。メイン路線は”あかでん”こと遠州鉄道鉄道線と、”てんはま”こと天竜浜名湖鉄道、そして遠鉄バスの面々にJRは東海道に新幹線。静岡県遠州地方を走り回る彼らの日常を切り取ったショートショート26本。
日常のあれこれから、事件・事故、そしてあの震災まで。
(第三回Text-Revolutions Webカタログより転載)


kansou

この本は電車やバスの擬人化作品です。

電車やバスは好きで、妙なこだわりを持っていたりしますが、都内以外の交通となるとさっぱりです。
なので、あまり楽しめないかもしれないなどと思っておりましたが、そんなことはありませんでした。
著者様の電車バス好きがあふれておりました。

キャラクターたちは、どうやって乗客を増やすかについて語っており、ああ、そうですよねえって、赤字路線とかあったりしますよねって、廃線になったりすると、本当に寂しいものです。当人…当路線?にとっては、乗客を増やすことは、それはもう最重要課題なわけですよね。

そんな悩める電車バスさんたちの日常の短いお話が26話、つまってます。

いつも乗客としての視点しか持ち得てなかったのですけれど、電車視点で読めて、とても新鮮でした。

いくつか思ったことを書いてゆきます。

・みんなんでやるから楽しいのだ
スタンプラリーのお話。全部回ったりすることはなかったんですけれど、好きなアニメのやつはやったりしましたね。
バスの子供現金50円も、地元でやってますね。
そっか、こんな風に企画してるのかもなんだあって面白かったです。

・アイディアはいつも赤い風
転車台はなんでしょうね、上から見ると、デザインが素敵なんですよね。
マナーの悪い方のせいで見学できなくなる、それは悲しいことでよね。じゃあ、どうするか考えるところ、面白かったです。

・白銀は招くよ
大雪が降った日は大変ですよね……夜もずっと線路が凍結しないようにと電車を走らせましたとか、バスロータリーずっと雪かきしてましたとか聞くと、うわあ大変だあって思ったものです。それも、人手が足りていたからできたことで、そうでなかったら……そんな運休ばかりな中、元気に走ってる電車があったら、それはもう英雄ですよね~

・サービスエリア、はじめました
グッズのお話。電車グッズいいですよね~ SAに電車のグッズ、あれ?って感じはしますけれど、需要はありますよね。
あかでんくんの悩み?愚痴が面白かったです。

ちびっこが出てくるお話が総じて好きです。可愛くて、和みました。

あと、電車にお休みはない、そんなことを読むまで気がつきませんでした。
もしも人間ならの、擬人化作品ならではが楽しめました。

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発行:R.B.SELECTION
判型:A5 92P
頒布価格:500円
サイトR.B.SELECTION
レビュワー:真乃晴花