日常に潜むもやもやとしたうろんな感情、そこからわずかに垣間見える仄かな希望にも似たものをテーマにした詩集・エッセイです。

風見鳩さまの本の装丁は、毎回素敵でほれぼれします。
表紙デザインはとてもシンプルなんだけど、なんだろう、すごくカッコいいです。
フォントや文字のサイズ、行間の感じや紙の手触りも含め、全部がぴたっと
調和していて、持っているだけで嬉しくなるような素敵な詩集になっています。
内容も、とても好きでした。うろん、って何だっけ?と思い調べてみたら
「胡乱(うろん)…怪しくて、疑わしいこと。不確実や不誠実なこと」とのことで。
内容的には、決して明るくない、日々の中で少しずつ鬱屈していく
ような、ある種心の澱のようなものをあぶりだしている作品群だった
わけですが、全然嫌な感じがしないのは、多分、作者様が、これらの
作品を書くことで、楽になろうとしていないからだと思います。
心にある暗いものを書くことは、下手をすれば単に書き手のストレスを
発散するに留まってしまうことがあり、もしそうなってしまうと、
それが例え無意識的にでも、読み手にそのストレスを感じさせて疲れさせて
しまうことがあると思います。ですがこの作品集からはそういった
感じを一切受けませんでした。多分それは、そこにあるものに向ける宮本様
の目が、とても真摯で、厳しいものだからだと思います。
こういうものがあることを分かって欲しい、ではなくて、そこにある
ちょっと怖くて見たくないものをしっかりと過たずに見るんだ、という
姿勢を貫いていらっしゃる。
そういう清清しい心を感じる、私にとって何度も読み返したい言葉がいっぱい
詰まっている作品集でした。


発行:風見鳩
判型:B6 48P 
頒布価格:300円
サイト:風見鳩

レビュワー:ひよこ豆