Text-Revolutionsアンソロジー「嘘」

arasuji

第5回Text-Revolutions 参加サークルさん有志によるテーマアンソロジー!
テーマは「嘘」
可愛い嘘から裏切りから、エイプリルフールに謎かけに。121個の嘘をご堪能下さい!

kansou

小高まあなさん「だけど、いつもは、マジメです。」

うまいこと作品紹介になってるな、なるほどーと思ってましたがこれはずるい!(笑)隆二くんとマオでしんみり終わるのかなあと思ってただけに……!開催当日、まあなさんのブースに急げ!

藤和さん「白百合は踊る」

まち針で刺すって、可愛い設定なのに割とえぐいな~って思ってたらそういうことでしたか!魔法少年の葛藤が存在意義に関するものではないところが良かったです。
(魔法少年であることについて悩まない、ということですね。ヒーローだ)

堺屋皆人さん「私は嘘を吐いている。」

すごく面白かったです!小さな嘘と大きな(メタ的)嘘と。画像のアイデアも考えられてるなあって。本読みさん、ミステリ好きさんほどうまく騙される気がします。最初から最後まで父親不在なことにも複雑な気持ちにりました。

たつみ暁さん「嘘に混ぜた本当の」

甘い!!不憫なインシオン含めて、甘い~!今年のキュン初めでした。

夢美夜紅々さん「君の言葉を信じれば」

ツンデレ……になるのかな。紫亜が書き入れを嫌がる理由(恥ずかしい?羽人腹なのが問題?)が明らかにされて欲しかった。異種族婚姻譚は浪漫ですね……。

浮草堂美奈さん「同人ストレイドッグス~嘘つきはダレ?~」

来た~!(笑)この人たち本当にもう……(以下自主規制)毎度異能が笑えるうえに使える。なのにこの人たち本当にもう……(以下同文)

桐谷瑞香さん「宝珠細工師の原石 ―恵みに感謝を―」

かわゆい「嘘」でした。文化描写たくさんで読みごたえがあって、ハッピーエンドらしいラストの盛り上がりも楽しい。もーくっついちゃえよー!このこのー!

ひなたまりさん「山吹の姫」

これは切ない……!この時代のこと、一族の利益が最大となる選択がされるべきなんだろうけど、個人の想いはやっぱり別で。筒井筒の時の嘘と、成長してからの嘘の落差が哀しいです。
ちなみに、ひなたさんの奥州藤原氏漫画「楽土」にも筒井筒のシーンは描かれてるのですが、あまりの無邪気さに泣けます……。成子が恋する少女なんです……。

天海六花さん「誘疑-イザナギ-」

テーマの「嘘」よりも曰くありげなシーアとカルザスの抱える事情の方が気になりました。よい販促。バトルシーンを入れることで緩急がついて良かったと思います。

こくまろさん「何があっても信じることを強要されるRPG」

毎度真っ黒な笑いを有難うございます(笑)昔のRPGは何かと信用を安売りしていたなあと今だから思うのですが、当時のいたいけな私はそのことに感動したりもして。虚構を信じるメタ構造が揺らぐ快(怪?)作でした。

琴木緒都さん「言って、魅せる」

大人なんだから好きなところで好きなように生きればいいのに、と部外者は思うのだけど、坂本のお家も医者の世界も怖そうだし、そうもいかないのでしょうか。思いあう二人が幸せになればいいのですが。

翡翠しおんさん「最後のひと」

死神の立ち位置や死にゆく世界との関係性がよくわからなかったのですが、ロアとキサラギはくっついちゃいけない理由があるんでしょうか。循環する世界において死神だけ(?)消滅するのは悲しすぎやしませんか……。

卯月慧さん「騎士と守護の誓い」

すごくラブい……!(笑)よい「嘘」でした。上から押さえつけるのでも言いくるめるのでもなく物事を進められるのは、上に立つには不可欠な素質。仲良しかつ互いに過保護だけど、嬉しい気遣いだったことでしょう。

宮崎笑子さん「へたないいわけ」

恋は盲目というか、あばたもえくぼというか、彼氏さんメロメロじゃないですか。しかも叩いたら埃出てきたって(笑)本人がいいのならいいのですけど。ごちそうさまでした!

秋原かざやさん「元気だよ」

じんわりしみる良い物語でした。「嘘」という言葉を文中で用いていないこと、方便だった「元気だよ」が結びの先で本当に変わってゆくのだろうと思わせる運びが素晴らしかったです。

迫田紘伸さん「RAY ANGEL アンソロジー『嘘』REMIX」

「嘘」の日常が夢であるのと同様に、ロボットとして人類を守るために戦う「現実」もメタ的な夢なんじゃないかと思いました……。生存目的を維持するため、とかそういう理由で。あるいは地球は滅亡なんかしていないのでは?と際限なく不安になりました。

凪野基「はなふるこよみ」

_(:3 」∠)_

まるた曜子さん「山鳩 ~まんが日本昔ばなし底本~」

めっちゃ良かったです……!同じかたちのもの、血を分けあったものの断絶と、時既に遅しの気付きと。知らない彼は知らないままで、かといってそれは妹や母が教えられるものでもなくて。今後土鳩の子が来たら、彼はどう接するのかな。「素っ気ない」と思われないよう親身になる(※伝わらないおそれ有)のか、それとも養父にされたようにあれこれ口出ししてうるせーなと思われるのか。どめすてぃっくらぶ!

夕凪悠弥さん「終わりのそのときに」

おさしょうの……!という導入部から、ドキドキさせつつも(テーマ「嘘」だし嘘ですよね)→ホッ、と全部持って行かれました。それでもよかったよかった。何となく、彼女は本当に神様に会って一発ガツーンとやりそうな気がするのですが(笑)ラブかったです!

藍間真珠さん「たばかり」

優れた感覚、能力を持つ者ならではの疑心暗鬼。疑うのも自衛のためには大切だけど、このままだとすり減ってしまいそうなので、信用の線の引き方を学ぶ機会が与えられて欲しいなあと思います。緊迫感があって面白かったです。

氷砂糖さん「伸縮小説『嘘吐きのピアノソナタ』」

初回のテキレボアンソロでもこおりさんの伸縮小説に鷲掴みにされたのですけど、好き以外の言葉が出てこない……。真実は客観であり、言葉は無力であり、それを伸縮の形で提示することで可能性を開いているかのよう。もうジェラスィーしかねえわ!(キレ)

永坂暖日さん「街のうつろにこだまする」

これは切ない……。切ないというか、不条理や意気地のなかった自分への怒りかな。消えた人に会えることはない、とわかっていても会いに行ってしまう。誘われて諾と応えても、その先に幸せはないとわかっているから拒絶して、求める気持ちだけがいつまでも残って。異質な堀田は逃げ切れたと思いたい。

唄さん「はすのね」

総二郎も美里のことが好きで相思相愛だったけど、お兄さんと守には敵わないからと時子と祝言を挙げて、美里も時子に遠慮して身を引いたけど実は……くらいまで勘繰ったけど確信がないし、タイトルにも何か意味があるはずなんやけど……気になる。

つんたさん「花幻之記~累ガ淵異聞」

キーワードを拾ってウィキぺをちらっと覗いたものの、一読して中身が入ってこないほどこんがらがってる、ということだけ理解しました。愛と憎しみとを隔てる嘘。ヘンリーの行く末を暗示するような孤独で冷たいお話だったと思います。

二月ほづみさん「1+2」

ひとまずは良かった……んだけど、何となく不穏な予感もするんですよね。アインも「先生」も只者じゃなさそうだし、彼らが少年を迎えに来たのも裏がありそうだし。全く別件ですけど、医療福祉関連の人々頑張って……。

遠藤ヒツジさん「赤マルとショートピース」

叔父さんについた嘘だけじゃなくて、蒼くんの全てが虚構。そんな年頃なのかもしれないし、生来のものかもしれない。妹ちゃんに見破られて弱み握られるのも、弱いと見た叔父さんが実は……なのも美味しい展開だと思います!(えっ?)

土佐岡マキさん「病と明かさぬ夕べ」

中学生男女の機敏……というよりはもっとひりひりした駆け引きのような関係性がツボでした。邪推かもしれないけど、結びの一文は色々考えられたんじゃないかなあと思います。ミステリ成分とそれ以外が絶妙のバランスでした。

山本ハイジさん「Birthday」

どんどん上書きして、いつの日かbirthdayにhappyをつけて祝えるようになればいいな。エディを愛するぶんだけコスタも愛されますように。(背負い込みすぎるお人好しの気配を察知)

蒼依結那さん「勿忘草~叶わない願い~」

毒劇物は用法用量を守って正しくお使いくださいってソフィアがちゃんと言ってれば……。ひねくれた子だってわかってたなら他にやりようもあったような。幸せになるのは自分だし、人に委ねちゃいかん。これは悪魔の一人勝ちかなあ。

せらひかりさん「春の目覚め」

知らぬ存ぜぬの協定を結んでるのに一人だけそれかい……というのも気まずいものですね。権謀術数の最中のほのぼの。春が来るたびに思い出してアーッてなるだろう六葉が可愛いです(笑)

きよにゃさん「隠しごと」

うわーラブい!神聖なる学び舎でまことけしからんのでどんどんやっちゃってください!柱の陰から覗き見たい(笑)冷たい手をあたためるってもえます……。

朱暁サトレさん「鬼灯実る」

悪人だった……!大店のこと、相続や何やで揉めてたのかもしれないけど、真朱にしてることを思えば恨みも深いのだろうなと。殺さずにままごとのような関係を続けているのは歪んだ愛情ゆえなのでしょうか。花言葉を調べてアーッてなりました。

良崎歓さん「キタキチョウ」

彼にとっての日だまりは彼女なのだ、とひしひし伝わってきて、不器用ながら心地よい距離を保っている二人を応援したくなりました。一途に打ち込んでいる姿が素敵なの、わかるなあ。

鳴原あきらさん「いえない言葉」

不要だと言われれば二度と振り返らない強情さと臆病さを併せ持つ安道が護を見舞った気持ちと、弱る姿を見られたくないと突っぱねながらも気弱になる護の距離感とままならなさが好きです。これはつらいなあ……。本編も気になります。
もしかして「いえない」は「言えない」ではなく「癒えない」なのかな……。

ヒビキケイさん「究極の嘘つき」

拓海を放り出した人たち(両親とかでしょうか)が何と言おうと彼は彼以外の何者でもないわけで。新しい環境で、作り笑いでなく笑える日が来るといいなと思います。

里見ヤスタカさん「あの日のふたり」

壮大な物語の幕開けを思わせる再会。フランチェスカの喋り方が時々幼く?(ひらがな混じり)なるのは彼もまた慣れていないから、かな。

森村直也さん「完璧で曖昧な現実の中で」

三回読みました。そうか血液型!というところまではわかったけど、オトの背景がまだ掴みきれないのでもっと読まねば……。序盤の「か」はかなえのか、ですね。ヒントを集めるようにして読み進めるの、面白かったです。
「血液型占いでOとABのみ取り上げる/お父さんはO型(O型が1位で喜んだ)」+「正人は母親似」+「お父さんは不倫系ニュースが嫌い」=「正人はお父さんの子ではない(両親のどちらかがO型だとAB型の子どもは生まれない)」なのはわかったけど、オト(お父さんと香苗さんの子?)がいまいち確定に至らず悔しい。「中学校に上がるか上がらないか」と年齢が定かでないことから、弟ではなく兄なのでは……なんて思うけど。答え合わせが出ているらしいので楽しみ。

伊深さん「ニセ執事」

ストーカー被害に遭って引っ越しまでした女性が見知らぬ男性に気を許すかというところはさておき、伏線が見事でした。でも彼女、人間不信になりそう……。

黒川うみさん「嘘から始まる」

きみの嘘が数を重ねて本当になるのなら、僕の嘘もまた。嘘であっても本当であっても「望んだのはきみだ」って狡くかわせるけど、想いは彼自身のものだといつ気付くんだろう。

乃木口正さん「容疑者Yの献身」

あああなるほどー!恩を着せた……というか恐喝ですね……。格好いいとは言えないけど、凄い献身だ。でも本当これ、雪子さんは真実を知ったら怒るし泣くね……。

乙葉蒼さん「裏切る君へ」

「刹那」の力も時鳥の力も同じ種類のものなのかな。使いようによって、ということでしょうか。そうと意識せず力に振り回される「刹那」の行く末は明らかですね……。「お前みたいな奴は、こうやわ」には燃えました。

恵陽さん「ウラハラ」

かわゆいゆりでした。ニヤニヤしちゃうな。さて、打ち上げでは立場が逆転して、西の可愛い私服にドキュンてやられる黒ちゃんが目に見えるようです(笑)

紙男さん「王泥棒の息子」

なるほど、鮮やかな「嘘」でした。でも多分、お母さんは薄々感づいているんじゃないかなあ。(だから盗みの成功にもわりと淡々としてるのかなーなんて)

古月玲さん「太白寮小景 エイプリルフールの新入生」

今回も賑やかで楽しそうで何より。新入生たち、これまでにもクラス替えのたびに同じ説明をしてたんだろうなー。

木村凌和さん「星の落ちる町」

寄せて返す波、戻ってくるボート、街を再訪した桜花。謎の多い一行だけど、たぶん何かの必然があるんだろうなあ。セーラー服が良いです。良いです。

磯崎愛さん「あにといもうと」

艶やかな赤い花を咲かせる幸恵と、夢うつつのあわいを歩むような糺の関係性がえろすでした……。一線を越えなかったのは牡丹に「香りがない」せいか、蝶に喩えられる糺がひとところに留まらない性だからか。雰囲気がすごく好きです。

mあんずkさん「土曜日の嘘」

嘘をついてまで何で別れなきゃならんかったのでしょう……。「僕は嘘つきだから」って言うけど、別れが最初の嘘なら少なくとも彼女に対しては嘘つきじゃなかったわけで。

風城国子智さん「貫き通す」

若く、自分も相手も信じられずに身を引いた二人の再会。声なき邂逅であったことは互いに自身の立場を理解しているがゆえで、それが切なかったです。

野間みつねさん「語らぬは」

敵サイドから主人公を語ったものだと思うのですけど、格好いい……!因縁と運命が絡み合う戦いのうちに、侮蔑が徐々に形を変えてゆくさまが克明に描かれ、原作を知らないのにどきどきしました。

庭鳥さん「母猫は浄瑠璃すたあの夢を見る」

猫が三味線を習う絵面のシュールさや、鼻息荒い母猫とのんびりな娘たちの落差が可愛かったです。お父さんの皮はいじゃだめ……!

ひじりあやさん「初恋が終わる日に」

なるほど、そういう意味での「終わる」なんですね。愛だ恋だはロマンチックなことばかりではないかもしれないけど、二人が末永く幸せでありますように。

鉤咲蓮さん「Joke」

シンシアとエイベルの揺らぎや芝居を打ってる最中、所属組織の背景など、長い尺で読んでみたい作品でした。裏切り裏切られのスピーディさが良かったです。エイベルは二次元だからいいものの、実際にいたらだいぶしんどいタイプだなあ……。

高麗楼さん「造られた通交」

歴史は繰り返す、と言いますが、もしかして本当に進歩なく、手を変え品を変え同じループを歩んでいるだけなのでは、と思わされます……。

オカワダアキナさん「飛ぶ蟹」

おかさんの作品のエッセンスがぎゅっと詰まった作品でした。水辺といのちと年上のおんなと父。ばれなきゃいい嘘はそこらじゅうに溢れていて、確かなこととの区別は汽水のように曖昧で。硬貨のぬくみと片手のピースが燦然と輝いて格好いい。

孤伏澤つたゐさん「ゆめのむすめ」

えろす……!彼も彼女も、互いの幻影を追いかけているようで、目の前の相手のことなど見ていないのではないかと思いました。あるいは実存なんてものは貘が食い散らかしたあとなのか。京都で本編を買わなかったことを激しく後悔しております。静岡できっと!

末広圭さん「とある商人とイカサマ劇」

お猫様ー!種明かしの部分が鮮やかでした。異世界がこんなふうにたくさん存在して行き来できる(?)ということは少なくとももう一つはメタ世界が存在するのかな……とか脱線しましたすみません。

ほたさん「Doubt -付箋-」

なんという素敵おねショタ……!もう大人なんだから、短所を埋めるより長所を伸ばす方がよいし、短所はこうしてカバーしあえばよいわけで。めっちゃ良いコンビですね!

海崎たまさん「花葬」

たまさんのご本はよいぞ……みんな読んで……。ご本人に伝えたかどうか記憶が曖昧なのですけど、この「花葬」はたまさん流、夢十夜だと思ったんですよ……。好き……。
(色々な方の色々な作品に夢十夜みを察して尻尾を振るマン)

高梨來さん「lie,lie,lie」

春馬君ファンとしては登場しただけで嬉しいのですけど、やはりかすがいのような人だなあと思います。「縁ってそんなもん」という周くんの言葉が、これまでの彼らの歩みを表しているようで深いです。

姫神雛稀さん「僕は嘘の多い人生を送っとうからね」

ここからアンソロ前作に繋がるのか~。これは梓河、辛いなあ……。モノカキとしての才能と社会生活を送る能力とはまったく別で。助け合う彼ら彼女らに僅かなりとも兆すだろう負い目や嫉妬を思うと、やるせないです。

歌峰由子さん「偽りを重ねて明日を望む」

ファンタジーとの境界を歩むような「先見」の設定が好きです。ラストは……外界へ脱するための方便ということ……でしょうか……?仮死であってほしいです。

泡野瑤子さん「刺青」

続きをください長編をください!二人の間の距離がすこぶる好みでした。魔法陣はあるのかないのか、それゆえの強さなのかそうではないのか、翻弄されるジェラベルドが可愛く、捕らえどころのないシノも素敵。長編をください!(二回目)

紙箱みどさん「ライライ・ロングバケーション」

嘘のない人生なんてそれこそ嘘だと思うけれど。たくさんの嘘のなかに本当が混じっているからこそ、重みがあるのじゃないかなあ。そもそも嘘か本当かなんて塗り分けられるものじゃないのかもしれない。みかんの幼い真っ直ぐさがかわゆいです。

三谷銀屋さん「お皿は何枚」

良かった良かった……の反面、御主人からすればそうも言ってられないわけで。「嘘を本当に、本当を嘘に」の後半部分でお菊さんが報いを受けないといいなあ……。

たまきこうさん「クレイズモアの魔女と黒猫」

魔法の描写が素敵。探偵と魔女、それに猫という設定の掴みがうまいなあと思いました。

瑞穂檀さん「ねこのこ」

生まれ変わりなんかじゃないかもしれないけれど、子猫が彼女の生きる理由のひとつになればいいなと思います。今はコンビニ弁当よりも軽いいのちはすぐに重くなるだろうから。そして冷蔵庫のキムチはたぶん死んでる……。

服部匠さん「外伝・夢守人黒姫 嘘つきの味」

負の感情に抗えなかった日比奈が悲しく、もしかして青子も元々は日比奈のような女の子だったのかなあ、と想像しました。青子が黒姫を思うばかりで、黒姫はきっと青子を夢に見てくれないですものね……。

西乃まりもさん「両手いっぱいのスイーツをきみに」

ああー、これはぜひ「空気をソーダで割る方法」を併せて読んで頂きたいです!萌と綾に何があったかとか、不憫な飯田君の頑張りとか、大人な武藤さんも含めてみんなの「もにょもにょ」が描かれた連作。割り切れないでいるのもまた一つの答えかなって。

梔子花さん「雪解け、桜の舞う夜に」

女子の怒りはポイントカード制と言いますが、まさに。彼とはきっと合わなかったんですね。さばさばした吹っ切れ方が小気味良かったです。新緑に包まれる桜のように、新しい一歩を踏み出せたらいいなと応援したくなりました。

亀屋たむさん「嘘細工」

嘘細工、というのが素敵。材料がそこらにあるものだというのも。未研磨の石はもしかして少年の作なのでしょうか。男と少年の間のひねくれた親愛と、肉屋のコミカルさが面白かったです。

鳥井蒼さん「女ともだち」

何も知らない外野から見れば「女ともだち」そのものの二人。どっちが「そう」なんだろうなと思いながら読んでいましたが、なるほど……!ある意味、アヴェリーもマーサも似た素質があるのかも。シリーズもののドラマっぽい雰囲気でした。

まやさん「東大ハムカツ男~実在の学校組織等とは一切関係ございません」

不名誉な渾名の二人の関係が面白かったです。ゴローは東大に受かると燃え尽きてしまうような気がするので、できればいつまでもチカショクで東大を志していてほしいな……(笑)

蒼那流さん「缶詰Friend」

なんで魚ちゃんに野菜くんなんでしょう……名前が気になって仕方がないし、そのせいかほのぼの良い話には思えなかったんですけど、読み方間違えてるかな……。

柏木むし子さん「にんげんと、にんげんだったものの、よる」

いわゆる「人外」なんですけど、外見で「人間」をくくらないところがすごく好きです。モニャちゃんかわゆい。テオは某触手の人と理解していますが、何があったのか気になる……!

高杉なつるさん「神様は嘘をついた」

忘却の残酷さ。想われれば生まれ、忘れられれば命果てる儚い存在が「神様」だという設定がすごく好きです。主人公の無邪気さ、朗らかさの裏側にあるえぐみがたまりません。

小出マワル。さん「深海魚飼育のウソ」

吸引されている深海魚の図を想像すると、アブダクションぽくてちょっと笑えます。好奇心と探求心、それから需要で科学が進んでいくよい例だと思います。

業平心さん「イグ・カフェにて」

あー、見事に騙されました。違和感のある文体が作風なのか仕掛けなのかわからなかった、と負け惜しみを言っておきます。大腿四頭筋はブラフかな……。登場人物の命名に意味を感じます。

桂瀬衣緒さん「告白」

これは面白い(というと語弊があるかも)嘘!ネット上のアカウントとその「中の人」が同一かは外部からは確かめようがなく……。静岡が楽しみです……!

家登みろくさん「10の真実」

「しゃぼん玉」と「夢の国」が好きです。「夢の国」の方は、楽しい時間の終わりというだけなのか、それとも一緒にやって来た人との関係も終わってしまうのか……と想像が広がりました。

小田島静流さん「fragile」

流れがスムーズで読みやすく、テンポの良さとコミカルさで引き込まれました。「取扱注意」のダブルミーニングが巧い!そして輸送中のお人形嬢の補給は……(笑)

星埜ロッカさん「いとのいと」

蜘蛛の彼女が妖しく、彼もきっとそんなところに惹かれたのだろうと思います。形ばかりに抵抗して見せることで互いに暗黙の了解を楽しんでいるようにも思えて、背徳的な魅力がありました。

フタガミサヤさん「幕が上がる」

書き出しが見事。短い作品だからこそ、テーマ「嘘」が輝きます。目を閉じた彼だけが嘘をついたのか。気づかぬ嘘、見ないふり、理解できないふりをする嘘。過去の成功と共有した時間が終わる痛烈な寂しさと、言葉にしない感情が浮き上がる構成が素晴らしいです。

松井駒子さん「嘘つきの末路」

人の欲というものは必ずしも否定されるべきものではないと思うのだけれど、彼もむくも、と両手を伸ばした佐用が何だか可哀想です。もちろんむくも。佐用もむくもそれぞれに純粋だったのになあ、と切なさが残ります。

月灯さん「蜂蜜と少年のはじまりに」

幼い嘘と友情を守るために、お母さんが尽力したんだろうなあ……。貴族の身分、権力はこんな嘘よりもっと汚いだろうから、ユエットはめっちゃ頑張らないと。文中、矛盾する記述がちらほらあるのが少し気になりました。

まりたつきほさん「相談ドットコム」

釣られて時間忘れて読み耽って「まあでも釣りだし」て思うところまでがテンプレ、なのはともかくとしてキンコ何物。すっっごい気になる。読み手がそれぞれに想像してニヤッとしつつ、正体が定かでない不安もあって。巧いな~。
(キンコが気になりすぎて思わずぐぐりかけた人がこちらです)

ひざのうらはやおさん「このお話はフィクションです。」

小説なんだけど、お芝居とかショートコントのような印象でした。言葉遊びっぽい罪状(耳で聞いて漢字に変換できたのすごい)とか大袈裟な数字とか。だからこそのタイトルなのかなあなんて思ったり。

七歩さん「うそつきの種」

本編も拝読しました。彼もレイミーもすごく純粋で、でも彼女は悲しいほどに「ふつう」だから。好きと告げる愛、告げない愛、糧になるものによって色かたちを変えたとしても、同じ種。これも本当みんな本編読んで……!

石井鶫子さん「誘惑Strawberry」

微妙にえろすを感じまし……た……!

能西都さん「透けた手紙」

積み上がった手紙には、届いた方がいいものも、届かない方がいいものもあるんだろうなあ(保管云々と野暮なことを思いつつ)。彼は何を手紙に書いたんだろう。郵便屋さんは静かに時間を見守る人でもあるんでしょうね。

蒸奇都市倶楽部(シワ)さん「契情騙記」

リズムにも配慮された小気味いい文体で綴られる、春をひさぐ女と客のやりとり。言葉は容易に心を動かす、それは睦言も物語も同じかもしれません。真贋を問わず、言葉に支えられていない心はないのですから。

青波零也さん「嘘と秘策のえとせとら」

私の中では影が薄かった綿貫さん、そして秘策設立にそんな経緯があったなんて。そして、件の「容疑者」のその後を南雲さんが知ってるぽいのがめっちゃ気になります……!(そしていつも真面目な八束ちゃんがかわゆい)

坂本蜜名さん「柊彼方と四月一日」

そんなことするから生徒会が恐れられるのでは……というのはさておき、謎の多い生徒会だなあ。萩くんがここで自信取り戻せるといいなあ。テンポの良い楽しい作品でした。

篠崎琴子さん「私のまぶたに背信を咲かせて」

乞う、と恋う、源を同じくすることばだそうですがその微妙なニュアンス、咲き誇るかれを目にしたときの揺れ動く心、どうあっても人ならざるものに惹かれてゆくこと、描写が繊細で美しく、その中にもひとすじの冷たさ、鬼気迫るものを感じました。

青砥十さん「真の名は。」

映画を見てないので生温く笑いつつ、たぶん良いパロディだったんじゃないかな、と思います。「たまに逢いにきても」がちょっと唐突だったかなあと思うのですけど、これも元ネタの流れなんでしょうか。

行木しずくさん「淋しいおねだり」

嘘をつきすぎると魂が削れて命を失う、ということでしょうか。ドラマチックなのでもう少し長い作品で読みたい設定でした。先生の失踪も不穏。

暁 湊さん「そらふね」

ソラフネのソラは空でもあるし空事、ということでもあるのかな。フェレットが喋り季節のフルーツが楽しめて多種族世界っぽくもあり、嘘から飛行船を作る。素敵なファンタジー世界だと思いました。

谷町悠之介さん「嘘とゲームと幼なじみ」

どう考えても主人公より親分さんの方がいい人のような気がするし、彼女が親分さんに惚れ込んで都会に出ていったのもわかる気がする。ひねくれるのもほどほどに、ですね。

橙河さゆさん「魔法少女の掟」

地球人のレベルを超越する技術や知性を持ってるのに、惚れた子を振り向かせるために魔法少女って相当病んでるし歪んでやしませんか……太陽と北風というお話もあることだし、素直になった方が早く進展しそう。

緑川かえでさん「舞台上の合法」

これまでアンソロで彼らのやりとりを追いかけてきたけど、今回主の背景に触れられていたせいか、一番じんと来ました。悪役と「悪」の絶対的な違いと、悪であるからこそ主に惹かれた従者たち。ある種の理想かもしれません。

呉葉さん「自由に道は選べなくても」

あっ、まだ誤解が解けてない(笑)今、不本意な道を進まなくてはならないとしても、目的がぶれないのならきっとそこへ辿り着けるのではないかと思います。彼らには若さも才能もある。後進の為に道を整えてあげて、と言うのも残酷だけども。

風合文吾さん「悲恋を望んだエゴイスト」

エゴイストを名乗ることで主役になろうとしたのかもしれないけれど、人生の主役はどこまでも自分ではなくて。彼が泣けたことに救いを感じるし、彼もまたふつうの人だったのだと思います。

DA☆さん「嘘つきレジェン Sequel (テキレボアンソロジー版)」

この国が滅びて、「真実の石」が新たな火種にならないか心配。器を有する者が分相応の悪行を実行するのも悲劇だし。冷遇されているらしい魔法使いたちの無念はこのまま……?小気味良いやりとりながら、この結末、何ともやるせないです。

ろくさん「ブラックベルベット・サァカス」

聖吾さんの第一印象が「受っぽい」ですみません……。彼が持ち前の潔癖さゆえに身を持ち崩すとすごく燃えるのですけど、内なる獣性を暴かれた後で彼はどう変化するのかと想像するのも楽しいです。恋かな?(すみません)

セリザワマユミさん「高い値段の「嘘」の代償」

怖っ!こっっっわ!!人間が一番怖い、のはまあさておき、お金だの悪霊だの饅頭だの、この世には怖いものがたくさんですねえ……。繰り返しますが人間が一番怖いです。

絲しじまさん「モーション・ピクチャー・サウンドトラック」

明日から何か変わるかも、という手応えのようなものを感じました。正しさなんて相対的なもの。寄って立つ足元が早く固まれば良いなと思います。ベラまで潰れませんように。

望月あんさん「やわらかな檻」

兄妹という檻は近さを保証する代わりにそれ以上の接近を許さない。切々とした描写が美しく、コンプレックスである唇と似たかたちの兄の唇に魅力を感じるところなど、随所にえろすを感じました。

壬生キヨムさん「夜のさんぽ あるいは男子高校生のとりとめのない」

理解があるような見せかけの言葉に違和感を覚える峯田はいい人ですねえ。何でもない、さりげない会話をストレスなく重ねる相手がいることは幸せなこと。妖怪……気になる……!

青銭兵六さん「Fibber&Wimp」

美学に基づいて行動するジェフリーが格好良いです。手の内を知り尽くしたリサとの駆け引きも本編未読ながらわくわくしました。ハードボイルドながら、惚れた女の子のために根性と知能指数が増減するコミカルさと悲哀も魅力です。

轂冴凪さん「彼方に送るは虚か実か」

アンソロでずっと追いかけてきたシリーズですが、ここにきてまさかの!人が宇宙に達しても、信じる心であるとか、約束ごとであるとか、非科学的なことが人を救うことはままあって。封筒を開封しないで済むよう、無事を祈ります。

とやさん「永久の夢を夢見て」

読み始めた時は、大丈夫かなこの人、死なないかな、と不安だったのですが、後半の鮮やかな反転にほっとしました。偶然とはいはえ、気付かせてくれる人と出会えて良かった。

凡符さん「僕は魔王にはなれない」

世界征服も楽じゃない、わけですがロミオ先輩いい人ですねえ。確かにこれじゃ魔王にはなれないでしょう……。智秋君は文学部?経済学部?

檜さん「ヴァレンティヌスより愛をこめて」

まったく明るくない分野ですがすごく面白かったです。アステリアの目を通してヴァレンティヌスの人となりが綴られる後半部分には鳥肌がたちました。愛って、信仰って、何だろうなあ……。

谷水春声さん「待ち時間に彼女を」

記憶の中のような、あわいに漂うような、不思議な世界観。彼と彼女はカイロ、かりそめの熱をやり取りするような間柄だったのでしょうか。微笑む彼女を描きあげ、電車が到着して、彼の時間が動いた先は明るいもののように思えました。

跳世ひつじさん「恋人たちの殺人事件」

うわあ好きなやつだ。破滅の未来しか見えない組み合わせのカップルと、インスピレーションをかきたてる血の色、におい。何もかも承知の上での、薄氷を踏みながらのお芝居が危うくてぞくぞくします。ジョーもエリも色っぽい!

きとさん「可哀想なコーボルト」

時代が時代とはいえ、壁をもって隔てられるのはつらいことですね。熱意があるだけに受け入れられないという現実の冷たさが重くのしかかります。結が、その名の通り彼我を結ぶのでしょうか。これは本編を読まねば……。

悠川白水さん「《童話》馬術のおねえさん」

前書き、後書きをなくしてサークル情報のところまで読んで「嘘」が何なのか判明するスタイルのが仕掛けとして良かったのでは……。(お節介)

病氏さん「正直者の日」

不正を摘発して取り締まる部署がパンク必至の一日ですね……。大抵は調子に乗って気に入らない相手を糾弾するか、不意の嘘を恐れて黙るかだと思うのですが。こわ……。

斉藤ハゼさん「終点の海」

なんかあるだろうし、あるいはなんにもないだろうし、が物悲しい。あったかもしれない記憶はいつしか薄らいで、なかったかもしれない記憶がそれっぽく居着いて、その境目が曖昧になってゆく淡い恐怖。完結編が楽しみです……!

白河紫苑さん「ぼくは嘘をつきました」

もしかしてこちらが噂の金属の本でしょうか。(返信によるとまた違う特殊装丁の本だそうです)嘘という名の蜜に誘われ、抗いきれずに破滅した「僕」、でもその本心はきっと……。

モモウメさん「枝葉末節」

とうらぶ、登場人物は何となくわかるけど詳しい設定まではわからないので……とか言ってたら作者さんに教えて頂きました。野暮なことさせてすみません。
けれどやっぱり「君の名前を呼ぶ」はロマンなので……よいですね……!

data

発行:Text-Revolution準備会
判型:未定
頒布価格:未定
サイトText-Revolution準備会
レビュワー:凪野基