サボテンの子どもたち
【新刊】寺島家の三きょうだいを中心に繰り広げられる、何気ない日常を綴った4編の短編連作集です。
必勝の条件
わたしはものをよく落とす――そそっかしい大学一年生の高橋晶は、ひょんなことから一年前の出来事を思い出す。
サボテンの子どもたち
寺島家にはサボテンが多い。母の趣味だ。大輔は、母がサボテンにはまったきっかけを知らない。
銀杏夜話
彼氏にフラれてやけ酒をした夜、寺島静香は神社で不思議な現象に遭遇する。
一夜限りの境界線
恋人とディナーを楽しんでいた寺島有香は、遠くへ転勤することになったと恋人に打ち明けられて……。
(第6回Text-Revolutions Webカタログより転載)
『サボテンの子どもたち』 は、寺島家の三きょうだいを中心に展開する、四編からなる連作短編集です。
身近でささやかな、出会いと別れの悲喜交々。
一見ありふれているようでも、誰もがそれぞれの人生の主役なのだと思い出させてくれます。
人と人との小さな出会いや別れが少しずつ連なっていまがあり、未来へと繋がっていくことがそれとなく示され、広く奥深く、滋味深い読後感を味わうことができました。
地味でとげとげしていて、けれどもどこかかわいらしいサボテンは、見事にこの物語を象徴しています。
永坂さんは非常に多彩な作品を書かれる作家さんですが、光か闇かでたとえるなら、もちろん「闇の永坂さん」では全然ないけれど、「光の~」というほど大仰ではない、木漏れ日のようにほのかなぬくもりを持った作品集です。
すでに永坂さんの作品がお好きな方にはもちろん、初めての方にもぜひお手に取っていただきたい作品集です。
できればほかのご本と一緒に、その作風の多彩さを堪能してみてください!
きらめく美しい装丁も見どころです。