普通の矜持
ローレックが何かと手のかかるデザインチャイルド・シーマに着いて訪れたのは、人里離れた地雷原、礫砂漠のど真ん中。気象観測装置を設置するだけのはずだったが。
(Text-Revolutions1 WEBカタログより)
近未来世界を舞台に、それぞれに事情を抱える人々の関係、出会いが描かれた物語です。
貧しい国での出来事には色々と考えさせられます。知らなければ無視できたものでも、目にしてしまえばそういうわけにもいきませんよね。
また、IGLの「製品」とは一体何なのか。次第に明かされていく実情はとても興味深いです。
同じ「製品」でありながら決定的なものが異なっているローレックとシーマ。
望んだわけでもないのに生き方の方向を示唆され「欠陥」まで背負っているシーマは、ローレックのことをずっとどう見てきたのでしょうか。
シーマの気持ちを思うと、ラストにはなんだかほっこりさせられます。
「普通」とは何なんだろうといつも考えているのですが、この作品を読みながらまたいっそう思い巡らしました。
――誰にとってどういう意味での「普通」なのか。
そんなことを考えながらも、新たな一歩を踏み出したローレックのその後にも思いを馳せたくなります。