城ノ内探偵事務所-Mission-
あの一件から一ヶ月。
目標達成に向けての尾行調査は、
再開の目処が立っていなかった。
過保護になった上司が送り迎えをしながら笑う。
俺と鬼ごっこがしたいなら試してみてもいいよ。
まぁ、おすすめはしないけど。
ミッションは達成出来るのか?
そして園田あかりは平穏を取り戻せるのか?
(著作者サイトより転載)
※感想の一部にネタバレがありますのでご注意下さい!
「あかりちゃん、降参する時は上目遣いで『教えて』って言ってごらん?手ぇ繋いでうちに連れて帰ってあげるから」
「うっわ、ムカつく……!」
(↑二人の関係を示す、秀逸なやりとり)
いつも人を食ったような笑顔が特徴の探偵・城ノ内紘と、負けず嫌いで怒らせると怖い事務員・園田あかり。上司部下以上、恋人(になれるのか?)未満の二人の軽妙なトークの下に、しっかりと織り込まれたサスペンスが面白い小説です。
前作、「城ノ内探偵事務所」で上司の自宅を突き止める為、尾行をしていたあかりちゃんですが、その後、起こった「解放」(前巻収録)事件の後、過保護になった上司から、まさにドア・トゥ・ドアの送り迎えを受けることになります。
買い物すら帰り道の途中で、上司と共に行く毎日、一人になれるのは自宅のみ。さすがに息のつまる彼女、でも、実はこの上司の行動の裏には…。
時に丁々発止とやりあう二人のやりとりと、『シスコン』兄さんの登場と彼女の生まれた理由、とうとう突き止めた上司の自宅、Mission完了のはずが…!?
楽しく、時にハラハラドキドキしながら読める話の下に隠された『悪意』と『害意』。上司の過保護の理由が解った瞬間「ああ、そうだったのか!」と納得すると同時にゾクリとします。
そして、上司があかりちゃんに拘る理由が……。
あんたは小学生ですか!!!(笑)
ツンデレ(少し病みも入っているかも…)上司とツンデレ、鈍感部下。この二人のくっつきそうでくっつかない、でも離れられない、そんな関係をたっぷりと心ゆくまで楽しめるお話。
じれじれしながらも、実は貴方達ソウルメイトじゃないの!!と突っ込みたくなる、そんな男女と共に奏でるサスペンスを楽しめる小説です。
発行:SiestaWeb
判型:文庫(A6) 208P
頒布価格:650円
サイト:Siesta Web Site
レビュワー:いぐあな